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March 6, 2014 Vol. 370 No. 10

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早期前立腺癌に対する根治的前立腺全摘除術と経過観察との比較
Radical Prostatectomy or Watchful Waiting in Early Prostate Cancer

A. Bill-Axelson and Others

背景

限局性前立腺癌の男性では,根治的前立腺全摘除術により死亡率が低下するが,長期的な利益に関しては大きな疑問が残っている.

方 法

1989~99 年に,早期前立腺癌の男性 695 例を経過観察または根治的前立腺全摘除術に無作為に割り付け,2012 年末まで追跡した.このスカンジナビア前立腺癌グループ研究 4(SPCG-4)では,主要評価項目を全死因死亡,前立腺癌による死亡,転移リスクとした.副次的評価項目はアンドロゲン抑制療法の開始などとした.

結 果

23.2 年の追跡期間中に,手術群 347 例中 200 例と経過観察群 348 例中 247 例が死亡した.このうち,手術群の 63 例と経過観察群の 99 例が前立腺癌による死亡であり,相対リスクは 0.56(95%信頼区間 [CI] 0.41~0.77,P=0.001),絶対差は 11.0 パーセントポイント(95% CI 4.5~17.5)であった.死亡 1 例を予防するための治療必要数(NNT)は 8 例であった.根治的前立腺全摘除術群では手術後に 1 例が死亡した.アンドロゲン抑制療法を受けた患者は手術群のほうが少なかった(差 25.0 パーセントポイント,95% CI 17.7~32.3).前立腺癌による死亡に関して手術の利益が大きかったのは,65 歳未満の男性(相対リスク 0.45)と中リスクの前立腺癌を有する男性(相対リスク 0.38)であった.一方,より高齢の男性では,根治的前立腺全摘除術は転移リスクの減少と関連していた(相対リスク 0.68,P=0.04).

結 論

追跡調査の延長により,根治的前立腺全摘除術後の死亡率は大幅に低下することが確認された.診断時の年齢と腫瘍リスクにより治療効果が修飾され,死亡 1 例を予防するための NNT は減少し続けた.経過観察群の長期生存者の大部分は緩和ケアを必要としなかった.(スウェーデン対がん協会ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 370 : 932 - 42. )