September 18, 2014 Vol. 371 No. 12
心筋梗塞に対する血栓吸引の 1 年後の転帰
Outcomes 1 Year after Thrombus Aspiration for Myocardial Infarction
B. Lagerqvist and Others
ST 上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に初回経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行う前に,冠動脈内血栓吸引をルーチンに行うことで短期死亡率が低下するかどうかは明らかにされていない.血栓吸引の 1 年後の臨床転帰を評価した.
登録に基づく無作為化臨床試験において,STEMI 患者 7,244 例を,用手的血栓吸引後に PCI を行う群と,PCI のみを行う群に無作為に割り付けた.主要評価項目である 30 日の時点での全死因死亡は,すでに報告されている.1 年の時点での全死因死亡は,事前に規定した副次的評価項目である.
追跡不能例はいなかった.全死因死亡率は,血栓吸引群で 5.3%(3,621 例中 191 例)であったのに対し,PCI 単独群では 5.6%(3,623 例中 202 例)であった(ハザード比 0.94,95%信頼区間 [CI] 0.78~1.15,P=0.57).1 年の時点での心筋梗塞による再入院率は,それぞれ 2.7%と 2.7%であり(ハザード比 0.97,95% CI 0.73~1.28,P=0.81),ステント血栓症の発生率はそれぞれ 0.7%と 0.9%であった(ハザード比 0.84,95% CI 0.50~1.40,P=0.51).全死因死亡,心筋梗塞による再入院,ステント血栓症の複合発生率は,それぞれ 8.0%と 8.5%であった(ハザード比 0.94,95% CI 0.80~1.11,P=0.48).結果は,血栓の大きさや,PCI 前の冠血流(TIMI)分類のグレードで分類した主要なサブグループすべてにおいて一貫していた.
STEMI 患者に対する PCI 施行前に血栓吸引をルーチンに行っても,1 年の時点での全死因死亡率は低下せず,全死因死亡,心筋梗塞による再入院,ステント血栓症の複合発生率も低下しなかった.(スウェーデン研究評議会ほかから研究助成を受けた.TASTE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01093404)