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October 30, 2014 Vol. 371 No. 18

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重症成人患者の早期栄養管理時の投与経路に関する試験
Trial of the Route of Early Nutritional Support in Critically Ill Adults

S.E. Harvey and Others

背景

重症成人患者の早期栄養管理時のもっとも有効な投与経路については,不確実性がある.われわれは,経静脈経路のほうが経腸経路よりも優れているという仮説を立てた.

方 法

イングランドの 33 施設の集中治療室(ICU)に予定外の入室をした成人を対象に,実践的無作為化試験を実施した.経静脈的または経腸的な栄養投与が可能であった例を,静脈栄養群と経腸栄養群のいずれかに無作為に割り付けた.栄養管理は入室後 36 時間以内に開始し,最長 5 日間継続した.主要評価項目は 30 日全死因死亡率とした.

結 果

2,400 例を登録し,2,388 例(99.5%)を解析対象とした(経静脈群 1,191 例,経腸群 1,197 例).30 日目までに,経静脈群の 1,188 例中 393 例(33.1%)と経腸群の 1,195 例中 409 例(34.2%)が死亡した(経静脈群の相対リスク 0.97,95%信頼区間 0.86~1.08,P=0.57).経静脈群では,経腸群と比較して,低血糖発現率(44 例 [3.7%] 対 74 例 [6.2%],P=0.006)と嘔吐発現率(100 例 [8.4%] 対 194 例 [16.2%],P<0.001)に有意な低下が認められた.経静脈群と経腸群とのあいだで,1 例あたりの治療された感染性合併症件数(0.22 対 0.21,P=0.72),90 日死亡率(1,184 例中 442 例 [37.3%] 対 1,188 例中 464 例 [39.1%],P=0.40),その他の副次的評価項目 14 項目の発現率,有害事象の発現率に,有意差は認められなかった.カロリー摂取量は 2 群で同程度であり,ほとんどの例が目標摂取量に達しなかった.

結 論

重症成人患者の 30 日死亡率に,早期栄養管理時の投与経路に関連する有意差は認められなかった.(英国国立健康研究所から研究助成を受けた.CALORIES 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN17386141)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 1673 - 84. )