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November 20, 2014 Vol. 371 No. 21

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急性膵炎における経鼻腸管栄養の早期開始とオンデマンド実施の比較
Early versus On-Demand Nasoenteric Tube Feeding in Acute Pancreatitis

O.J. Bakker and Others

背景

重度急性膵炎患者では,腸管由来の感染症を予防するために,経鼻栄養チューブによる経腸栄養が早期に開始されることが多いが,この戦略を支持するエビデンスは限られている.われわれは,急性膵炎患者において,救急受診後早期の経鼻腸管栄養と,救急受診から 72 時間後に開始する経口摂取とを比較する多施設共同無作為化試験を行った.

方 法

急性膵炎で,合併症リスクの高い患者を登録した.合併症リスクは,急性生理学的異常・慢性度による重症度評価(APACHE II)スコア 8 以上(0~71 のスコアで,スコアが高いほど重症であることを示す),Imrie(修正グラスゴー)スコア 3 以上(0~8 のスコアで,スコアが高いほど重症であることを示す),または血清 C 反応性蛋白値 150 mg/L 超に基づいて判定した.患者を,無作為化後 24 時間以内に経鼻腸管栄養を開始する群(早期群)と,受診から 72 時間後に経口摂取を開始する群(オンデマンド群)に無作為に割り付けた.経口摂取に対する忍容性がない場合には経管栄養を行った.主要エンドポイントは,6 ヵ月の追跡期間における主要な感染症(感染性膵壊死,菌血症,肺炎)または死亡の複合とした.

結 果

オランダの 19 病院で,208 例を登録した.主要エンドポイントは,早期群では 101 例中 30 例(30%),オンデマンド群では104 例中 28 例(27%)で発生した(リスク比 1.07,95%信頼区間 0.79~1.44,P=0.76).早期群とオンデマンド群とで,主要な感染症の発生率(それぞれ 25%と 26%,P=0.87)と,死亡率(それぞれ 11%と 7%,P=0.33)に有意差は認められなかった.オンデマンド群では,72 例(69%)が経口摂取に忍容性を示し,経管栄養を必要としなかった.

結 論

この試験では,合併症のリスクが高い急性膵炎患者に対する早期経鼻腸管栄養は,受診から 72 時間後に開始する経口摂取と比較して,感染症や死亡の発生率の低下に関して優越性は認められなかった.(オランダ健康研究開発機構ほかから研究助成を受けた.PYTHON 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN18170985)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 1983 - 93. )