November 20, 2014 Vol. 371 No. 21
血友病 B に対する第 IX 因子遺伝子治療の長期的な安全性と有効性
Long-Term Safety and Efficacy of Factor IX Gene Therapy in Hemophilia B
A.C. Nathwani and Others
重症血友病 B 患者において,新たな血清型 8 型自己相補的アデノ随伴ウイルス(AAV8)ベクターを介した遺伝子治療が,第 IX 因子量を最長 16 ヵ月間上昇させることが示されている.われわれは,導入遺伝子発現の持続性,ベクターの用量反応関係,持続性または遅発性の毒性レベルを明らかにする目的で試験を行った.
重症血友病 B 患者 10 例を対象に,導入遺伝子発現の安定性と,長期的安全性を評価した.最初の第 1 相用量漸増試験に登録した 6 例は,低用量,中用量,高用量に 2 例ずつ割り付けた.別の 4 例には,高用量(2×1012 ベクターゲノム/kg 体重)を投与した.その後,広範なモニタリングを臨床的に,あるいは検査によって行った.
重症血友病 B 患者 10 例全例で,ベクターの単回静注により,血中の第 IX 因子量は中央値 3.2 年で正常値の 1~6%まで用量依存的に増加しており,観察は現在継続中である.高用量を投与された 6 例全例で,第 IX 因子に平均(±SD)5.1±1.7%の一貫した増加が認められ,出血エピソードと予防的に補充された第 IX 因子濃縮製剤量の両方で 90%超の減少がもたらされた.高用量群 6 例中 4 例では,7~10 週目にアラニンアミノトランスフェラーゼ値が平均 86 IU/L(36~202 IU/L)まで一過性に上昇したが,プレドニゾロン投与後中央値 5 日(2~35 日)で正常化した.
重症血友病 B 患者 10 例において,AAV8 ベクターの単回投与は,臨床的改善に関連する長期的かつ治療的な第 IX 因子発現をもたらした.最長 3 年間の追跡期間において,治療による遅発性毒性は報告されなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00979238)