November 27, 2014 Vol. 371 No. 22
マルファン症候群の小児および若年成人におけるアテノロールとロサルタンの比較
Atenolol versus Losartan in Children and Young Adults with Marfan’s Syndrome
R.V. Lacro and Others
大動脈基部解離はマルファン症候群における死亡の主な原因である.複数の試験から,大動脈基部拡張の抑制には,現在多くの施設で標準治療に用いられているβ遮断薬よりもロサルタンのほうが有効である可能性が示唆されている.
マルファン症候群の小児および若年成人を対象に,ロサルタンとアテノロールを比較する無作為化試験を行った.主要評価項目は,大動脈基部拡張量とし,体表面積を指標とする大動脈基部最大径の z スコア(以下,大動脈基部 z スコア)の 3 年間の変化で表した.副次的評価項目は,大動脈基部径の絶対値の変化量,大動脈弁逆流の変化量,大動脈解離・大動脈基部手術・死亡のいずれかが発生するまでの期間,身体発育,有害事象の発現率などとした.
2007 年 1 月~11 年 2 月に,21 ヵ所の医療施設において,大動脈基部 z スコアが 3.0 を超える 6 ヵ月齢~25 歳(平均 [±SD] 年齢はアテノロール群 11.5±6.5 歳,ロサルタン群 11.0±6.2 歳)の患者 608 例が登録された.大動脈基部 z スコアのベースライン補正変化量(±SE)に,アテノロール群とロサルタン群とのあいだで有意差は認められなかった(それぞれ -0.139±0.013 標準偏差単位/年と -0.107±0.013 標準偏差単位/年,P=0.08).どちらの傾きも 0 を有意に下回っており,いずれの治療においても,体表面積に基づく大動脈基部拡張の程度が減少したことを示している.大動脈基部手術,大動脈解離,死亡,およびこれらの事象の複合の 3 年発生率に,群間で有意差は認められなかった.
ロサルタンまたはアテノロールに無作為に割り付けられたマルファン症候群の小児および若年成人において,3 年間の大動脈基部拡張量に群間で有意差は認められなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00429364)