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November 27, 2014 Vol. 371 No. 22

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NPC1L1 における不活性化変異と冠動脈心疾患からの防御効果
Inactivating Mutations in NPC1L1 and Protection from Coronary Heart Disease

The Myocardial Infarction Genetics Consortium Investigators

背景

エゼチミブは,ニーマン–ピック C1 様 1(NPC1L1)蛋白の活性を阻害することにより,血漿低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール濃度を低下させる.しかし,このような阻害により冠動脈心疾患リスクが低下するかどうかは不明である.ヒトで発生する,薬剤標的をコードする遺伝子を不活性化させる変異は,阻害薬に似た作用をもつ可能性があり,阻害薬の潜在的な効果を推測するのに利用できる可能性がある.

方 法

欧州系,アフリカ系,南アジア系で,冠動脈心疾患を有する患者 7,364 例と有しない対照 14,728 例において,NPC1L1 のエクソンの配列を決定した.不活性化変異(ナンセンス変異,スプライス部位変異,フレームシフト変異)の保有者を同定した.さらに,冠動脈心疾患患者 22,590 例と対照 68,412 例において,特定の不活性化変異(p.Arg406X)の遺伝型を決定した.不活性化変異の存在と,血漿脂質濃度および冠動脈心疾患リスクとの関連を検討した.

結 果

配列決定により,NPC1L1 に 15 の異なる不活性化変異が認められた.およそ 650 人に 1 人が,そのうちの 1 つについてヘテロ接合体を保有していた.NPC1L1 不活性化変異のヘテロ接合体保有者では,LDL コレステロールの平均値が非保有者と比較して 12 mg/dL(0.31 mmol/L)低かった(P=0.04).NPC1L1 不活性化変異保有者であることは,冠動脈心疾患リスクの 53%の相対的な低下に関連した(保有者の場合のオッズ比 0.47,95%信頼区間 0.25~0.87,P=0.008).全体で,冠動脈心疾患患者で不活性化変異が認められたのは 29,954 例中わずか 11 例(保有者の頻度 0.04%)であったのに対し,対照では 83,140 例中 71 例(保有者の頻度 0.09%)に認められた.

結 論

自然に生じる NPC1L1 の機能を阻害する変異は,血漿LDL コレステロール濃度の低下と,冠動脈心疾患リスクの低下に関連することが明らかになった.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 2072 - 82. )