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December 18, 2014 Vol. 371 No. 25

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禁煙のためのシチシンとニコチンとの比較
Cytisine versus Nicotine for Smoking Cessation

N. Walker and Others

背景

シチシン(cytisine)は,ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する部分作動薬で禁煙に用いられるが,プラセボ対照試験では,6 ヵ月の時点での禁煙の可能性をほぼ倍にすることが示されている.われわれは,シチシンが,喫煙者の禁煙の補助として,ニコチン代替療法と少なくとも同程度に有効であるかどうかを検討した.

方 法

ニュージーランドで,禁煙の意欲があり,国が提供する禁煙相談サービス「クイットライン」に電話をかけてきた,毎日喫煙する成人 1,310 例を対象とした実践的非盲検非劣性試験において,参加者を 25 日間シチシンを投与する群と,8 週間ニコチン代替療法を行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.シチシンは無料で郵送により提供し,ニコチン代替療法は,パッチおよびガム/トローチと低価格で交換できる券により提供した.両群に,クイットラインを通じて,電話による低強度の行動支援を行った.主要評価項目は 1 ヵ月の時点での自己申告による禁煙継続とした.

結 果

1 ヵ月の時点で禁煙の継続を報告した参加者は,シチシン群 40%(655 例中 264 例),ニコチン代替療法群 31%(655 例中 203 例)であり,その差は 9.3 パーセントポイント(95%信頼区間 4.2~14.5)であった.1 週,2 ヵ月,6 ヵ月の時点での禁煙継続効果は,シチシンのほうがニコチン代替療法よりも優れていた.主要評価項目の事前に規定したサブグループ解析では,シチシンはニコチン代替療法に対して,女性においては優越性,男性においては非劣性を示した.6 ヵ月間の自己申告による有害事象の発現頻度は,シチシン群(204 例で 288 件)のほうがニコチン代替療法群(134 例で 174 件)よりも高かった.有害事象は主に,悪心・嘔吐,睡眠障害であった.

結 論

シチシンは簡単な行動支援と併用した場合,喫煙者の禁煙の補助として,ニコチン代替療法に対して優越性を示すことが明らかになったが,自己申告による有害事象の頻度がより高いことに関連した.(ニュージーランド保健研究評議会から研究助成を受けた.Australian New Zealand Clinical Trials Registry 登録番号 ACTRN12610000590066)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 2353 - 62. )