December 25, 2014 Vol. 371 No. 26
加齢に伴うクローン性造血と有害な転帰との関連
Age-Related Clonal Hematopoiesis Associated with Adverse Outcomes
S. Jaiswal and Others
造血器腫瘍の発生率は年齢とともに上昇する.これらの癌は,特定の遺伝子に高頻度にみられる体細胞変異と関連がある.われわれは,血液疾患があることがわかっていない人の血液においても,そのような変異は検出可能であるという仮説を立てた.
血液学的表現型を問わずに抽出された 17,182 人の末梢血細胞中の DNA に関する,全エクソーム塩基配列決定データを解析した.造血器腫瘍で高頻度に変異している遺伝子 160 個を対象に,すでに特性が明らかにされている一塩基多様体と小規模な挿入または欠失を同定することによって,体細胞変異を探索した.変異の存在と,血液学的表現型,生存,心血管イベントとの関連について解析した.
検出可能な体細胞変異の頻度は,40 歳未満ではまれであったが,年齢とともに顕著に上昇した.これらのクローン性変異は,70~79 歳では 9.5%(2,300 人中 219 人),80~89 歳では 11.7%(317 人中 37 人),90~108 歳では 18.4%(103 人中 19 人)に認められた.多様体の大半は,DNMT3A,TET2,ASXL1 の 3 つの遺伝子に発生した.体細胞変異の存在は,造血器腫瘍リスクの上昇(ハザード比 11.1,95%信頼区間 [CI] 3.9~32.6),全死因死亡率の上昇(ハザード比 1.4,95% CI 1.1~1.8),冠動脈心疾患発症リスク(ハザード比 2.0,95% CI 1.2~3.4)および脳梗塞発症リスク(ハザード比 2.6,95% CI 1.4~4.8)の上昇に関連した.
加齢に伴うクローン性造血は頻度が高く,造血器腫瘍リスクと全死因死亡率の上昇に関連している.全死因死亡率の上昇は,心血管疾患リスクの上昇に起因する可能性があると考えられる.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)