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December 25, 2014 Vol. 371 No. 26

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血液 DNA の塩基配列から推測されるクローン性造血と造血器腫瘍のリスク
Clonal Hematopoiesis and Blood-Cancer Risk Inferred from Blood DNA Sequence

G. Genovese and Others

背景

癌は獲得変異の積み重ねによって生じるが,おそらくは長い年月をかけて発症するものと考えられる.癌が臨床的に明らかになる何年も前に,癌の発生と進展の初期段階が存在している可能性がある.

方 法

癌または血液に関する表現型を問わず抽出された 12,380 人の末梢血細胞の DNA を用いて行った,全エクソーム塩基配列決定データを解析した.まれなアレル分画に基づいて,体細胞変異を同定した.スウェーデン全国患者登録のデータを用いて,DNA サンプリング後 2~7 年間の健康転帰を追跡した.

結 果

体細胞変異を伴うクローン性造血は,65 歳超では 10%に認められたのに対し,50 歳未満では 1%にしか認められなかった.検出可能なクローン性増殖は,以前から造血器腫瘍との関連が示唆されてきた 3 つの遺伝子(DNMT3AASXL1TET2)の体細胞変異を非常に高頻度に伴っていた.クローン性造血は,その後の造血器腫瘍の強力な危険因子であった(ハザード比 12.9,95%信頼区間 5.8~28.7).このコホートにおける造血器腫瘍の約 42%は DNA サンプリング時にクローン性造血が認められた人で発生したが,DNA サンプリングが行われたのは診断される 6 ヵ月以上前であった.急性骨髄性白血病患者 2 症例について,診断時に採取した骨髄生検標本の解析により癌は初期のクローンから発生したことが示された.

結 論

体細胞変異を伴うクローン性造血は,DNA 塩基配列決定法によって容易に検出され,加齢に伴って頻度が上昇し,造血器腫瘍および死亡のリスクの上昇に関連する.骨髄癌患者で変異している遺伝子の一部は,一見健常であっても高い頻度で変異しており,これらの変異は,造血器腫瘍の発生と進展における特徴的な初期事象である可能性がある.(米国国立ヒトゲノム研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 2477 - 87. )