August 14, 2014 Vol. 371 No. 7
尿中ナトリウム・カリウム排泄量と血圧との関連
Association of Urinary Sodium and Potassium Excretion with Blood Pressure
A. Mente and Others
高ナトリウム摂取と血圧上昇との関連が報告されている.この関連が,ナトリウムやカリウムの摂取量によって異なるのか,また集団によって異なるのかどうかは,明らかにされていない.
18 ヵ国の成人 102,216 人を調査した.単一の早朝空腹時尿検体から 24 時間尿中ナトリウム・カリウム排泄量を推定し,摂取量の代替指標として用いた.電解質排泄量と,自動血圧計により測定した血圧との関連を評価した.
回帰分析によって,推定ナトリウム排泄量が 1 g 増加するごとに,収縮期血圧は 2.11 mmHg,拡張期血圧は 0.78 mmHg 上昇することが示された.この相関の傾きは,ナトリウム摂取量が多いほど急であった(ナトリウム排泄量が>5 g/日では収縮期血圧は 2.58 mmHg/g 上昇,3~5 g/日では 1.74 mmHg/g 上昇,<3 g/日では 0.74 mmHg/g 上昇;交互作用について P<0.001).相関の傾きは,高血圧者(2.49 mmHg/g)のほうが非高血圧者(1.30 mmHg/g)よりも急であり(交互作用について P<0.001),年齢が高いほど大きくなった(>55 歳では 2.97 mmHg/g,45~55 歳では 2.43 mmHg/g,<45 歳では 1.96 mmHg/g;交互作用について P<0.001).カリウム排泄量と収縮期血圧とのあいだには負の相関が認められ,相関の傾きは高血圧者のほうが非高血圧者よりも急であり(P<0.001),年齢が高いほど大きくなった(P<0.001).
この研究では,ナトリウムとカリウムの排泄量測定から求めた推定摂取量と血圧とのあいだに非線形の相関が認められ,高ナトリウム食摂取者,高血圧者,高齢者において顕著であった.(オンタリオ心臓・脳卒中財団ほかから研究助成を受けた.)