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August 21, 2014 Vol. 371 No. 8

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鎌状赤血球貧血症における無症候性脳梗塞に対する輸血の対照試験
Controlled Trial of Transfusions for Silent Cerebral Infarcts in Sickle Cell Anemia

M.R. DeBaun and Others

背景

鎌状赤血球貧血症の患児では,無症候性脳梗塞はもっともよくみられる神経系損傷であり,梗塞(脳卒中または無症候性脳梗塞)の再発に関連する.われわれは,梗塞の再発率は,定期的輸血療法を行った患児のほうが標準治療を行った患児よりも低いという仮説を検証した.

方 法

無作為化単盲検臨床試験において,鎌状赤血球貧血症の患児を,定期的輸血を行う群(輸血群)と標準治療を行う群(観察群)に無作為に割り付けた.参加者の年齢は 5~15 歳で,脳卒中の既往がなく,MRI で 1 個以上の無症候性脳梗塞が認められたが,神経学的検査ではそれらに一致する異常は認められなかった.主要評価項目は梗塞の再発とし,脳卒中,または無症候性脳梗塞の新規発症もしくは拡大と定義した.

結 果

196 例(平均年齢 10 歳)を観察群と輸血群に無作為に割り付け,中央値で 3 年間追跡した.評価項目イベントは,輸血群では 99 例中 6 例(6%)に発生した(脳卒中 1 例,無症候性脳梗塞の新規発症または拡大 5 例).観察群では 97 例中 14 例(14%)に発生した(脳卒中 7 例,無症候性脳梗塞の新規発症または拡大 7 例).主要評価項目の発生率は,リスク 100 人・年あたり輸血群 2.0 件,観察群 4.8 件であり,発生率比は 0.41(95%信頼区間 0.12~0.99,P=0.04)に相当した.

結 論

鎌状赤血球貧血症の患児では,定期的輸血療法によって脳梗塞の再発率が有意に低下した.(米国国立神経疾患・脳卒中研究所ほかから研究助成を受けた.Silent Cerebral Infarct Multi-Center Clinical Trial:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00072761,Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN52713285)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 699 - 710. )