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September 4, 2014 Vol. 371 No. 10

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妊娠女性のインフルエンザ予防接種とその乳児の防御能
Influenza Vaccination of Pregnant Women and Protection of Their Infants

S.A. Madhi and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している妊娠女性と感染していない妊娠女性において,確定されたインフルエンザに対するインフルエンザ予防接種の有効性,およびその乳児の防御能に関するデータは限られている.

方 法

南アフリカにおいて,三価不活化インフルエンザワクチン(IIV3)を評価する二重盲検無作為化プラセボ対照試験を,HIV 感染妊娠女性を対象として 2011 年に行い,非感染妊娠女性を対象として 2011~12 年に行った.妊娠女性とその乳児における IIV3 の免疫原性,安全性,有効性を生後 24 週まで評価した.免疫応答は赤血球凝集抑制(HAI)試験で測定し,インフルエンザは呼吸器検体に逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法を用いて診断した.

結 果

HIV に感染していない妊娠女性のコホートは 2,116 例,HIV に感染している妊娠女性のコホートは 194 例であった.接種後 1 ヵ月の時点で,いずれのコホートにおいても,IIV3 接種者のほうが,プラセボ接種者よりもセロコンバージョン率が高く,HAI 抗体価が 1:40 以上である女性の割合が高かった.新生児の HAI 抗体価も,IIV3 接種者から出生した児のほうがプラセボ接種者から出生した児よりも高かった.RT-PCR で確定されたインフルエンザの発病率は,HIV 非感染のプラセボ接種者とその乳児はともに 3.6%であった.HIV 非感染の IIV3 接種者では 1.8%,その乳児では 1.9%であり,ワクチン有効率はそれぞれ 50.4%(95%信頼区間 [CI] 14.5~71.2)と 48.8%(95% CI 11.6~70.4)であった.HIV 感染女性では,プラセボ接種者の発病率は 17.0%,IIV3 接種者の発病率は 7.0%であり,ワクチン有効率は 57.7%(95% CI 0.2~82.1)であった.

結 論

インフルエンザワクチンは,妊娠女性において,HIV 感染の有無にかかわらず免疫原性を示し,HIV 非感染妊娠女性,HIV 感染妊娠女性,および HIV 非感染女性から出生した児において,確定されたインフルエンザに対する部分的な防御能をもたらした.(ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01306669,NCT01306682)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2014; 371 : 918 - 31. )