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March 17, 2016 Vol. 374 No. 11

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無症候性頸部内頸動脈狭窄症に対するステントと手術とを比較した無作為化試験
Randomized Trial of Stent versus Surgery for Asymptomatic Carotid Stenosis

K. Rosenfield and Others

背景

手術合併症のリスクが平均的または高い患者では,塞栓を捕捉し除去する(「遠位塞栓防止」)デバイスを用いた頸動脈ステント留置術が,頸動脈内膜剝離術に代わる有効な治療法であることがこれまでの臨床試験で示唆されている.

方 法

無症候性(登録前の 180 日間に脳卒中・一過性脳虚血発作・一過性黒内障を起こしていない)の頸部内頸動脈高度狭窄症を有し,手術合併症のリスクが高くないと判定された 79 歳以下の患者を対象に,遠位塞栓防止デバイスを用いた頸動脈ステント留置術と,頸動脈内膜剝離術とを比較した.予定登録患者数は 1,658 例であったが,登録に時間がかかったため,1,453 例を無作為化後に早期に中止された.追跡期間は最長 5 年間とした.主要エンドポイントは,術後 30 日以内の死亡・脳卒中・心筋梗塞と,1 年以内の同側脳卒中の複合とし,非劣性マージンを 3 パーセントポイントとして検定を行った.

結 果

主要複合エンドポイントに関して,ステント留置術は内膜剝離術と比較して非劣性であった(イベント発生率はそれぞれ 3.8%と 3.4%,非劣性について P=0.01).術後 30 日以内の脳卒中または死亡の発生率は,ステント留置術群 2.9%,内膜剝離術群 1.7%であった(P=0.33).術後 30 日から 5 年までのあいだに,同側脳卒中が発生しなかった患者の割合はステント留置術群 97.8%,内膜剝離術群 97.3%であり(P=0.51),全生存率はそれぞれ 87.1%,89.4%であった(P=0.21).脳卒中発生なしの 5 年累積生存率は,ステント留置術群 93.1%,内膜剝離術群 94.7%であった(P=0.44).

結 論

無症候性頸部内頸動脈高度狭窄症で,手術合併症のリスクが高くない患者を対象としたこの試験では,ステント留置術は,1 年の時点での主要複合エンドポイントの発生率に関して,内膜剝離術と比較して非劣性であった.最長 5 年間の追跡期間を組み入れた解析では,手技に関連しない脳卒中の発生率,全脳卒中の発生率,生存率に,群間で有意差は認められなかった.(Abbott Vascular 社から研究助成を受けた.ACT I 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00106938)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 1011 - 20. )