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January 14, 2016 Vol. 374 No. 2

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思春期児における肥満手術後 3 年間の体重減少と健康状態
Weight Loss and Health Status 3 Years after Bariatric Surgery in Adolescents

T.H. Inge and Others

背景

肥満手術は重度肥満の思春期児に対する治療として検討されるようになってきているが,臨床意思決定を支援しうる,思春期児に限定して減量手術の有効性と安全性を検討した前向き研究は少ない.

方 法

米国の 5 施設で,減量手術を施行予定の思春期児 242 例を前向きに登録した.ルーワイ胃バイパス術を受けた患児(161 例)と,スリーブ状胃切除術を受けた患児(67 例)を解析対象とした.体重・併存疾患・心血管代謝危険因子・体重関連 QOL における変化と,術後合併症の評価を,術後 3 年まで行った.

結 果

対象のベースラインの平均(±SD)年齢は 17±1.6 歳,平均体格指数(BMI;体重 [kg]/身長 [m]2)は 53 であり,75%が女性,72%が白人であった.術後 3 年の時点で,平均体重は,コホート全体では 27%(95%信頼区間 [CI] 25~29)減少し,胃バイパス術を受けた患児では 28%(95% CI 25~30)減少し,スリーブ状胃切除術を受けた患児では 26%(95% CI 22~30)減少していた.術後 3 年までに,ベースラインで 2 型糖尿病を有していた患児の 95%(95% CI 85~100)で寛解が得られ,同様に,腎機能異常の寛解は 86%(95% CI 72~100),前糖尿病状態の寛解は 76%(95% CI 56~97),高血圧の寛解は 74%(95% CI 64~84),脂質異常症の寛解は 66%(95% CI 57~74)で得られた.体重関連 QOL にも有意な改善が認められた.しかし,肥満手術後 3 年の時点で,患児の 57%(95% CI 50~65)に低フェリチン血症が認められ,13%(95% CI 9~18)が追加の腹腔内手術を 1 回以上受けていた.

結 論

思春期児の肥満手術に関する多施設共同前向き研究において,術後 3 年の時点で,体重,心血管代謝系の健康,体重関連 QOL に有意な改善が認められた.手術に関連するリスクとしては,特定の微量栄養素の欠乏,追加の腹部手術の必要性などがあった.(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所ほかから研究助成を受けた.Teen-LABS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00474318)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 113 - 23. )