後期早産リスクのある女性に対するベタメタゾンの出産前投与
Antenatal Betamethasone for Women at Risk for Late Preterm Delivery
C. Gyamfi-Bannerman and Others
在胎 34~36 週で出生した(後期早産)児は,在胎 37 週以降に出生した児と比較して,呼吸器・その他の有害転帰のリスクが高い.後期早産リスクのある女性にベタメタゾンを投与することで,新生児の障害リスクが低下するかどうかはわかっていない.
妊娠 34 週 0 日~36 週 5 日の単胎妊娠で,後期早産期(妊娠 36 週 6 日まで)に出産するリスクの高い女性を対象とする多施設共同無作為化試験を行った.参加者を,ベタメタゾン群とプラセボ群に割り付け,24 時間間隔で 2 回筋肉内注射した.主要転帰は,生後 72 時間以内に新生児に対して行われた治療(2 時間以上の持続気道陽圧呼吸または高流量鼻カニューレ,4 時間以上の吸入酸素濃度 0.30 以上での酸素補給,体外式膜型人工肺,人工呼吸器の使用)の複合と,死産または生後 72 時間以内の新生児死亡とした.
主要転帰は,ベタメタゾン群 1,427 例中 165 例(11.6%)と,プラセボ群 1,400 例中 202 例(14.4%)で発生した(ベタメタゾン群の相対リスク 0.80,95%信頼区間 [CI] 0.66~0.97,P=0.02).重度の呼吸器合併症,新生児一過性多呼吸,サーファクタント使用,気管支肺異形成症の頻度もベタメタゾン群で有意に低かった.母体絨毛膜羊膜炎の発症率,新生児敗血症の発症率にも群間で有意差は認められなかった.新生児低血糖症は,ベタメタゾン群のほうがプラセボ群よりも多くみられた(24.0% 対 15.0%,相対リスク 1.60,95% CI 1.37~1.87,P<0.001).
後期早産リスクのある女性に対するベタメタゾン投与によって,新生児呼吸器合併症の発症率は有意に低下した.(米国国立心臓・肺・血液研究所,ユニス・ケネディ・シュライバー米国国立小児保健・人間発達研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01222247)