The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 21, 2016 Vol. 374 No. 16

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

心不全に対するアリスキレン,エナラプリル,アリスキレン+エナラプリルの比較
Aliskiren, Enalapril, or Aliskiren and Enalapril in Heart Failure

J.J.V. McMurray and Others

背景

慢性心不全患者では,アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬によって死亡と入院のリスクが低下するが,レニン阻害薬の役割は明らかにされていない.駆出率の低下した心不全患者を対象に,ACE 阻害薬エナラプリルをレニン阻害薬アリスキレン単独と比較し(優越性または少なくとも非劣性を示すかどうかの検証),またエナラプリル+アリスキレンと比較した(優越性の検証).

方 法

単盲検の導入期間を終了後,患者を,二重盲検でエナラプリル 5 mg または 10 mg を 1 日 2 回投与する群(2,336 例),アリスキレン 300 mg を 1 日 1 回投与する群(2,340 例),両剤を投与する(併用療法)群(2,340 例)に割り付けた.主要転帰は,心血管系の原因による死亡または心不全による入院の複合とした.

結 果

追跡期間中央値 36.6 ヵ月の時点で,主要転帰は,併用療法群の 770 例(32.9%)とエナラプリル群の 808 例(34.6%)で発生していた(ハザード比 0.93,95%信頼区間 [CI] 0.85~1.03).アリスキレン群では 791 例(33.8%)で発生しており(エナラプリル群に対するハザード比 0.99,95% CI 0.90~1.10),事前に規定した非劣性の基準を満たさなかった.併用療法群では,エナラプリル群と比較して,症候性低血圧のリスクが高く(13.8% 対 11.0%,P=0.005),また,血清クレアチニン上昇(4.1% 対 2.7%,P=0.009),カリウム上昇(17.1% 対 12.5%,P<0.001)のリスクも高かった.

結 論

慢性心不全患者では,アリスキレンをエナラプリルに併用しても利益が増加することはなく,有害事象が増加した.アリスキレンのエナラプリルに対する非劣性は示されなかった.(Novartis 社から研究助成を受けた.ATMOSPHERE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00853658)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 1521 - 32. )