心血管疾患のない人における降圧とコレステロール低下
Blood-Pressure and Cholesterol Lowering in Persons without Cardiovascular Disease
S. Yusuf and Others
高血圧と低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール高値は心血管疾患リスクを高める.血圧と LDL コレステロール値の両方を低下させることで,心血管イベントのリスクは大幅に低下すると考えられる.
2×2 要因デザイン試験で,心血管疾患のない中等度リスクの 12,705 例を,ロスバスタチン(10 mg/日)を投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付け,さらにカンデサルタン(16 mg/日)+ヒドロクロロチアジド(12.5 mg/日)を投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.本稿で報告する解析では,(ロスバスタチン+降圧薬 2 剤の)併用療法群 3,180 例を,二重プラセボ群 3,168 例と比較した.第一の複合主要転帰は,心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中とし,第二の複合主要転帰は,第一のイベントに,心不全,心停止,血行再建を加えたものとした.追跡期間中央値は 5.6 年であった.
LDL コレステロール値の低下は,併用療法群のほうが二重プラセボ群よりも 33.7 mg/dL(0.87 mmol/L)大きく,収縮期血圧の低下は,併用療法群のほうが二重プラセボ群よりも 6.2 mmHg 大きかった.第一の複合主要転帰は,併用療法群では 113 例(3.6%)に,二重プラセボ群では 157 例(5.0%)に発生した(ハザード比 0.71;95%信頼区間 [CI] 0.56~0.90;P=0.005).第二の複合主要転帰は,併用療法群では 136 例(4.3%)に,二重プラセボ群では 187 例(5.9%)に発生した(ハザード比 0.72;95% CI 0.57~0.89;P=0.003).併用療法群では筋力低下とめまいが二重プラセボ群よりも多く認められたが,試験レジメンの全中止率は両群で同程度であった.
心血管疾患のない中等度リスクの人に対するロスバスタチン(10 mg/日)とカンデサルタン(16 mg/日)+ヒドロクロロチアジド(12.5 mg/日)の投与は,二重プラセボ投与と比較して,心血管イベントの発生率の有意な低下に関連した.(カナダ保健研究機構,AstraZeneca 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00468923)