東アフリカとタイの成人における HIV-1 急性感染期の前向き研究
Prospective Study of Acute HIV-1 Infection in Adults in East Africa and Thailand
M.L. Robb and Others
ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)急性感染期は,HIV-1 の伝播に寄与する主要な因子である.HIV-1 急性感染期を理解することは,HIV-1 の根絶や,機能的治癒(抗 HIV 薬なしでのウイルスの制御)達成のための治療戦略の開発に重要であると考えられる.
HIV-1 感染のリスクが高いボランティア 2,276 人は 週 2 回,血漿 HIV-1 RNA 定性検査を行った.急性 HIV-1 感染が検出された例には週 2 回,臨床的観察と,血漿 HIV-1 RNA 量(ウイルス血症を評価するため)と HIV 抗体の定量的測定を行い,リンパ球の免疫表現型解析の結果を入手した.
急性 HIV-1 感染が検出された 112 例中 50 例で,HIV-1 抗体が検出される前に血液検体が 2 回以上採取されていた.核酸検査で最初に反応性が認められてから 13 日後に,ウイルス血症のピークの中央値(6.7 log10 コピー/mL)に到達した.酵素免疫測定法での反応性は中央値で 14 日後に認められた.ウイルス血症の最下点(4.3 log10 コピー/mL)には中央値で 31 日後に到達し,この値は急性ウイルス血症の消失後,ウイルス量が持続的に安定した状態であることを示す,ウイルス学的セットポイント(血漿 HIV-1 RNA 量中央値 4.4 log10 コピー/mL)にほぼ等しかった.ウイルス血症のピークと減少の傾きには,ウイルス学的セットポイントとの相関が認められた.HIV-1 急性感染期の臨床症状は,ウイルス血症のピークの直前とピーク時に発現することがもっとも多かった.HIV-1 急性感染期の症状は,中央値で 1 つが,中央値で 2 回の受診時に記録され,HIV-1 急性感染期の徴候は,中央値で 1 つが,中央値で 3 回の受診時に記録された.
ウイルス学的セットポイントには,血漿ウイルス血症の初回検出後,中央値で 31 日の時点で到達し,ウイルス血症のピークと相関した.症状と徴候は,HIV-1 急性感染期にはほとんど認められず,ウイルス血症のピーク前にもっとも多く認められた.(米国国防総省,米国国立アレルギー感染症研究所から研究助成を受けた.)