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June 16, 2016 Vol. 374 No. 24

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包括的プライマリケアイニシアチブ開始後 2 年間の費用と質
Two-Year Costs and Quality in the Comprehensive Primary Care Initiative

S.B. Dale and Others

背景

さまざまな形態の支援により,ケアの質の改善および費用の削減につながるような,ケア提供における変化が生じるかどうかを明らかにするために,米国の 7 地域のプライマリケア診療所 497 ヵ所において,4 年間の複数支払者包括的プライマリケアイニシアチブが 2012 年 10 月に開始された.支援内容は,ケア管理料の提供,節減を共有する機会,データフィードバックと学習支援の提供などであった.

方 法

イニシアチブ参加診療所のケア提供における変化を追跡し,difference-in-differences 回帰分析法を用いて,イニシアチブ参加診療所で診療を受けている出来高払い方式のメディケア受給者と,マッチさせた対照診療所群について,イニシアチブの最初の 2 年間でのメディケア支出,ヘルスケアの利用,請求に基づく質の評価指標,患者の体験の変化を比較した.

結 果

最初の 2 年間で,イニシアチブ参加診療所はケア管理料を医師 1 人あたり中央値 115,000 ドル受け取った.診療所は,高リスク患者のケア管理やケアへのアクセス拡大などの領域において,プライマリケア提供へのアプローチの改善を報告した.受給者 1 人あたりの 1 ヵ月のメディケア支出平均の変化は,イニシアチブ参加診療所と対照診療所とで,ケア管理料を考慮しなかった場合にも(-11 ドル,95%信頼区間 [CI] -23 ドル~1 ドル;P=0.07;マイナスはイニシアチブ参加診療所のほうが支出の増加が少なかったことを示す),考慮した場合にも(7 ドル,95% CI -5 ドル~19 ドル;P=0.27)有意差は認められなかった.その他の評価指標で有意差が認められたのは,対照診療所と比較した場合のイニシアチブ参加診療所におけるプライマリケア受診の 3%減少(P<0.001)と,患者の体験の 6 領域のうちの 2 領域,すなわち投薬治療に対する意思決定についての患者との話し合い,および自身の健康を管理する患者に対する支援提供における変化のみであり,これら 2 領域については,イニシアチブ参加診療所では,対照診療所と比較して小さな改善が認められた(それぞれ P=0.006 と P<0.001).

結 論

この 4 年間の介入の途中で,イニシアチブ参加診療所は,プライマリケア提供の改善における進展を報告した.しかし,この時点で,これらの診療所において,ケア管理料を考慮に入れた場合,メディケアパート A・B に対する支出の節減は認められず,ケアの質や患者の体験における明らかな改善も認められていない.(米国保健福祉省メディケア・メディケイドサービスセンターから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02320591)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 2345 - 56. )