進行したメルケル細胞癌におけるペムブロリズマブを用いた PD-1 阻害
PD-1 Blockade with Pembrolizumab in Advanced Merkel-Cell Carcinoma
P.T. Nghiem and Others
メルケル細胞癌は,紫外線曝露とメルケル細胞ポリオーマウイルス(MCPyV)に関連する,進行が早く悪性度の高い皮膚癌である.進行したメルケル細胞癌には化学療法が有効であることが多いが,効果は一過性である.このような腫瘍は,プログラム細胞死リガンド 1(PD-L1)を発現している頻度が高く,MCPyV 特異的 T 細胞はプログラム細胞死 1(PD-1)を発現しているため,PD-1 免疫阻害経路の遮断に関心が寄せられている.
多施設共同第 2 相非対照試験において,全身療法歴のない,進行したメルケル細胞癌の成人患者に,ペムブロリズマブ(pembrolizumab)(抗 PD-1 抗体)2 mg/kg 体重を 3 週ごとに投与した.主要評価項目は,固形癌治療効果判定基準(RECIST)バージョン 1.1 に基づく客観的奏効率とした.MCPyV の有無を血清学的,免疫組織学的に検査し,有効性を腫瘍ウイルス状態と関連付けて検討した.
ペムブロリズマブ投与を 1 回以上受けたのは 26 例であった.治療期間中に評価を 1 回以上受けた 25 例の客観的奏効率は 56%(95%信頼区間 [CI] 35~76)であり,内訳は完全奏効 4 例,部分奏効 10 例であった.追跡期間中央値 33 週(7~53)の時点で,奏効例 14 例中 2 例(14%)が再発をきたした.奏効期間は,最短 2.2 ヵ月,最長 9.7 ヵ月であった(いずれも奏効継続中).6 ヵ月の時点での無増悪生存率は 67%(95% CI 49~86)であった.26 例中 17 例(65%)が MCPyV 陽性腫瘍であった.MCPyV 陽性腫瘍患者の奏効率は 62%(16 例中 10 例)であり,陰性腫瘍患者の奏効率は 44%(9 例中 4 例)であった.グレード 3 または 4 の薬剤関連有害事象は患者の 15%で発現した.
今回の試験では,進行したメルケル細胞癌患者において,ペムブロリズマブによる第一選択治療は,56%の客観的奏効率と関連することが示された.奏効は,MCPyV 陽性腫瘍患者,陰性腫瘍患者の両方で認められた.(米国国立がん研究所,Merck 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02267603)