January 28, 2016 Vol. 374 No. 4
再発慢性リンパ性白血病に対するベネトクラクスによる BCL2 標的化
Targeting BCL2 with Venetoclax in Relapsed Chronic Lymphocytic Leukemia
A.W. Roberts and Others
再発慢性リンパ性白血病(CLL)患者の転帰は新たな治療法によって改善されているが,完全寛解は依然としてまれである.ベネトクラクス(venetoclax)は,CLL 細胞の生存に重要な蛋白である BCL2 を標的にするという固有の作用機序をもつ.
再発または難治性の CLL または小リンパ球性リンパ腫(SLL)を有する患者を対象に,ベネトクラクスの安全性,薬物動態プロファイル,有効性を評価するため,ベネトクラクスの連日経口投与の第 1 相用量漸増試験を行った.用量漸増期間では,56 例を 150~1,200 mg/日の 8 つの用量群のいずれかに割り付け投与した.別の 60 例を対象とした拡大コホートでは,最大用量を 400 mg/日として週 1 回段階的に増量して投与した.
対象患者の大半は以前に複数の治療を受けており,89%に臨床的または遺伝学的に予後不良の特徴が認められた.ベネトクラクスはすべての用量で活性を示した.用量漸増コホートの 56 例では 3 例が臨床的腫瘍崩壊症候群を発症し,うち 1 例が死亡した.用量漸増スケジュールの修正を行った結果,拡大コホートの 60 例では臨床的腫瘍崩壊症候群はみられなかった.他の毒性として,軽度の下痢(患者の 52%),上気道感染症(48%),悪心(47%),グレード 3 または 4 の好中球減少症(41%)などがみられた.最大耐用量は同定されなかった.ベネトクラクス投与を受けた 116 例のうち,92 例(79%)で効果が認められた.フルダラビン抵抗性,17 番染色体短腕(17p)欠失(17p 欠失 CLL),IGHV 未変異などの,予後不良に関連する特徴別のサブグループにおける奏効率は 71~79%であった.全体の 20%で完全寛解が得られ,5%ではフローサイトメトリーで微小残存病変が検出されなかった.400 mg 投与群の 15 ヵ月時点での推定無増悪生存率は 69%であった.
予後不良の特徴を有する例を含む再発 CLL または SLL 患者において,ベネトクラクスによる BCL2 選択的標的化は,管理可能な安全性プロファイルを示し,高い奏効率をもたらした.(AbbVie 社と Genentech 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01328626)