The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 4, 2016 Vol. 374 No. 5

小児における合併症のない重度急性栄養失調に対するアモキシシリンのルーチン投与
Routine Amoxicillin for Uncomplicated Severe Acute Malnutrition in Children

S. Isanaka and Others

背景

重度の急性栄養失調の小児に対する地域ベースの治療プロトコールには,栄養治療プログラムに入れる際の抗菌薬のルーチン投与などがあるが,それらを支持する質の高いエビデンスは依然として限られている.抗菌薬のルーチン投与に関連する費用と耐性の出現を考慮すると,この医療行為を支持するにはさらに多くのエビデンスが必要である.

方 法

ニジェールでの二重盲検プラセボ対照試験において,生後 6~59 ヵ月の合併症のない重度の急性栄養失調児を,アモキシシリン投与群とプラセボ投与群に無作為に割り付け,7 日間投与した.主要転帰は,8 週あるいはそれより前の時点での栄養状態の回復とした.

結 果

2,412 例を無作為化し,2,399 例を解析対象とした.栄養状態が回復した児の割合は,アモキシシリン投与群 65.9%(1,199 例中 790 例),プラセボ投与群 62.7%(1,200 例中 752 例)であった.栄養回復の確率に関して,有意差は認められなかった(プラセボ投与群に対するアモキシシリン投与群のリスク比 1.05,95%信頼区間 [CI] 0.99~1.12,P=0.10).副次的解析では,アモキシシリン投与により,入院治療に移行するリスクが 14%低下した(アモキシシリン投与群 26.4% 対 プラセボ投与群 30.7%,リスク比 0.86,95% CI 0.76~0.98,P=0.02).

結 論

ニジェールにおいて,合併症のない重度の急性栄養失調からの栄養回復に関して,抗菌薬のルーチン投与に有益性は認められなかった.合併症の監視と管理の十分なインフラが備わっている地域では,医療施設が,合併症のない重度の急性栄養失調の治療プロトコールから,抗菌薬のルーチン投与を削除することを検討してよいと考えられる.(国境なき医師団 パリオペレーションセンターから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01613547)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 444 - 53. )