March 10, 2016 Vol. 374 No. 10
妊娠中のマラリア予防のためのジヒドロアーテミシニン/ピペラキン療法
Dihydroartemisinin–Piperaquine for the Prevention of Malaria in Pregnancy
A. Kakuru and Others
アフリカでは,妊娠女性のマラリア予防にスルファドキシン/ピリメタミンの間欠投与が広く推奨されている.しかし,スルファドキシン/ピリメタミンに対する耐性が拡大しており,新たな介入が必要とされている.
スルファドキシン/ピリメタミン耐性が拡大しているウガンダで,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染していない妊娠中の 16 歳以上の女性 300 例を対象に,二重盲検無作為化比較試験を行った.参加者を,スルファドキシン/ピリメタミン投与レジメン(106 例),ジヒドロアーテミシニン(dihydroartemisinin)/ピペラキン(piperaquine)3 回投与レジメン(94 例),ジヒドロアーテミシニン/ピペラキン月 1 回投与レジメン(100 例)のいずれかに無作為に割り付けた.主要転帰は,病理組織学的に確認された胎盤マラリアの有病率とした.
病理組織学的に確認された胎盤マラリアの有病率は,スルファドキシン/ピリメタミン投与群(50.0%)が,ジヒドロアーテミシニン/ピペラキン 3 回投与群(34.1%,P=0.03),ジヒドロアーテミシニン/ピペラキン月 1 回投与群(27.1%,P=0.001)よりも有意に高かった.出産の有害な転帰の複合発生率は,ジヒドロアーテミシニン/ピペラキン月 1 回投与群(9.2%)が,スルファドキシン/ピリメタミン投与群(18.6%,P=0.05),ジヒドロアーテミシニン/ピペラキン 3 回投与群(21.3%,P=0.02)よりも低かった.妊娠中のマラリアの発症率は,スルファドキシン/ピリメタミン投与群(リスク 43.0 人年で 41 件)が,ジヒドロアーテミシニン/ピペラキン 3 回投与群(リスク 38.2 人年で 12 件,P=0.001),ジヒドロアーテミシニン/ピペラキン月 1 回投与群(リスク 42.3 人年で 0 件,P<0.001)よりも有意に高く,赤血球寄生率もスルファドキシン/ピリメタミン投与群のほうが有意に高かった(スルファドキシン/ピリメタミン投与群 40.5% に対し,ジヒドロアーテミシニン/ピペラキン 3 回投与群 16.6% [P<0.001],ジヒドロアーテミシニン/ピペラキン月 1 回投与群 5.2% [P<0.001]).各群で,試験薬投与後の嘔吐のリスクは何回目の投与かにかかわらず 0.4%未満であり,有害事象のリスクに群間で有意差は認められなかった.
妊娠中のマラリアの負担は,ジヒドロアーテミシニン/ピペラキンを間欠的に予防投与した女性で,スルファドキシン/ピリメタミンを投与した女性よりも有意に低く,ジヒドロアーテミシニン/ピペラキンの月 1 回投与は,複数の転帰に関して,3 回投与に対する優越性が認められた.(ユニス・ケネディ・シュライバー米国国立小児保健・人間発達研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02163447)