The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

September 22, 2016 Vol. 375 No. 12

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

熱帯熱マラリアと三日熱マラリアに対する KAF156 の抗マラリア活性
Antimalarial Activity of KAF156 in Falciparum and Vivax Malaria

N.J. White and Others

背景

KAF156 は新規クラスの抗マラリア薬(イミダゾロピペラジン系[imidazolopiperazines])であり,血液中の無性/有性生殖期のマラリア原虫と,肝細胞内の赤外期マラリア原虫に対して活性を有する.

方 法

タイとベトナムの 5 施設で,三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)または熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)による急性マラリアの成人患者を対象に,KAF156 の抗マラリア効果,安全性,薬物動態プロファイルを検討する第 2 相非盲検試験を 2 部構成で行った.三日熱マラリアの患者コホートと熱帯熱マラリアの患者コホートで,複数回投与(1 日 1 回 400 mg,3 日間)を行い原虫消失速度を評価したあと,別の熱帯熱マラリア患者コホートで単回投与(800 mg)を行い,28 日の時点での治癒率を評価した.

結 果

原虫消失時間の中央値は,複数回投与を受けた熱帯熱マラリア患者 10 例では 45 時間(四分位範囲 42~48)であり,三日熱マラリア患者 10 例では 24 時間(四分位範囲 20~30)であり,単回投与を受けた熱帯熱マラリア患者 21 例では 49 時間(四分位範囲 42~54)であった.単回投与を受けて 28 日間追跡された 21 例のうち,1 例が再感染し,7 例が再燃した(治癒率 67%,95%信用区間 46~84).KAF156 の消失相半減期の平均(±SD)は 44.1±8.9 時間であった.この小規模試験では,重篤な有害事象は認められなかった.とくに頻度の高かった有害事象は,洞性徐脈,血小板減少症,低カリウム血症,貧血,高ビリルビン血症であった.2 例でグレード 2 以上の嘔吐が認められ,うち 1 例は 800 mg の単回投与後に嘔吐を繰り返したため投与を中止した.有害事象の報告件数は単回投与コホートのほうが複数回投与コホートよりも多かったが,単回投与コホートは追跡期間がより長かった.

結 論

合併症のない少数例の三日熱マラリアまたは熱帯熱マラリアの成人患者において,KAF156 は抗マラリア活性を示し,安全性に対する明らかな懸念は認められなかった.(Novar tis 社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01753323)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 1152 - 60. )