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November 3, 2016 Vol. 375 No. 18

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HR 陽性進行乳癌に対する第一選択治療としてのリボシクリブ
Ribociclib as First-Line Therapy for HR-Positive, Advanced Breast Cancer

G.N. Hortobagyi and Others

背景

サイクリン依存性キナーゼ 4 および 6(CDK4/6)の阻害により,ホルモン受容体(HR)陽性ヒト上皮増殖因子受容体 2(HER2)陰性の進行乳癌の内分泌療法に対する耐性を,克服または遅延できる可能性がある.

方 法

第 3 相無作為化プラセボ対照試験にて,HR 陽性 HER2 陰性の再発または転移性乳癌の閉経後女性で進行乳癌に対する全身療法歴のない 668 例を対象に, 第一選択治療としての選択的 CDK4/6 阻害薬リボシクリブ(ribociclib)とレトロゾールの併用の有効性と安全性を評価した.患者を,リボシクリブ(600 mg/日を 3 週間投与し 1 週間休薬するスケジュール)+レトロゾール(2.5 mg/日)を投与する群と,プラセボ+レトロゾールを投与する群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,試験医師の評価による無増悪生存期間とした.副次的エンドポイントは,全生存期間,全奏効率,安全性などとした.事前に計画した中間解析は,病勢進行または死亡が 243 例で認められてから,2016 年 1 月 29 日に行った.優越性の基準は,ハザード比 0.56 以下で P<1.29×10-5 と事前に規定した.

結 果

無増悪生存期間は,リボシクリブ群のほうがプラセボ群よりも有意に長かった(ハザード比 0.56,95%信頼区間 [CI] 0.43~0.72,優越性について P=3.29×10-6).追跡期間中央値は 15.3 ヵ月であった.18 ヵ月の時点での無増悪生存率は,リボシクリブ群 63.0%(95% CI 54.6~70.3),プラセボ群 42.2%(95% CI 34.8~49.5)であった.ベースラインで測定可能病変を有していた患者の全奏効率は,それぞれ 52.7%と 37.1%であった(P<0.001).いずれかの群で患者の 10%超で報告された,高頻度のグレード 3 または 4 の有害事象は,好中球減少(リボシクリブ群 59.3% 対 プラセボ群 0.9%)と白血球減少(21.0% 対 0.6%)であった.有害事象による投与中止率はそれぞれ 7.5%と 2.1%であった.

結 論

HR 陽性 HER2 陰性の進行乳癌に対する初回全身療法としてリボシクリブ+レトロゾールを投与した患者では,プラセボ+レトロゾールを投与した患者よりも無増悪生存期間が有意に長く,骨髄抑制の発現率はリボシクリブ群のほうが高かった.(Novartis Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01958021)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 1738 - 48. )