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December 29, 2016 Vol. 375 No. 26

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妊娠中の魚油由来脂肪酸の摂取と児の喘鳴と喘息
Fish Oil–Derived Fatty Acids in Pregnancy and Wheeze and Asthma in Offspring

H. Bisgaard and Others

背景

n–3 系長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)の摂取不足は,上昇している喘鳴性疾患有病率の寄与因子である可能性がある.われわれは,妊娠女性の n–3 系 LCPUFA 摂取が児の持続性の喘鳴と喘息のリスクに及ぼす効果を評価した.

方 法

妊娠 24 週の女性 736 例を,n–3 系 LCPUFA(魚油)2.4 g/日を摂取する群と,プラセボ(オリーブ油)を摂取する群に無作為に割り付けた.対象から出生した児で「コペンハーゲン小児喘息前向き研究 2010 (COPSAC2010)」のコホートを構成し,前向きに追跡し,多様な臨床表現型で分類した.試験群の割付けは,追跡期間中,最初の 3 年間は担当医にも対象にも知らせず,その後の 2 年間は担当医にのみ伏せた.主要エンドポイントは持続性の喘鳴または喘息とし,副次的エンドポイントは下気道感染,喘息増悪,湿疹,アレルギー感作などとした.

結 果

新生児 695 例を試験に組み入れ,95.5%が 3 年間の二重盲検追跡を終了した.持続性の喘鳴または喘息のリスクは,摂取群で 16.9%であったのに対し,対照群では 23.7%であり(ハザード比 0.69,95%信頼区間 [CI] 0.49~0.97,P=0.035),30.7%の相対的低下に相当した.事前に規定したサブグループ解析では,n–3 系 LCPUFA 摂取の持続性の喘鳴と喘息に対する効果は,無作為化時のエイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の血中濃度が試験集団の下位 1/3 の女性から出生した児でもっとも大きいことが示された(摂取群 17.5% 対 対照群 34.1%,ハザード比 0.46,95% CI 0.25~0.83,P=0.011).副次的エンドポイントの解析では,n–3 系 LCPUFA 摂取は下気道感染のリスク低下との関連が認められたが(31.7% 対 39.1%,ハザード比 0.75,95% CI 0.58~0.98,P=0.033),喘息増悪,湿疹,アレルギー感作とのあいだに統計学的に有意な関連は認められなかった.

結 論

妊娠第 3 期の n–3 系 LCPUFA 摂取によって,児の持続性の喘鳴または喘息,および下気道感染の絶対リスクは約 7 パーセントポイント低下し,相対的には 1/3 低下した.(ルンドベック財団ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00798226)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 2530 - 9. )