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August 11, 2016 Vol. 375 No. 6

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多囊胞性卵巣症候群女性の不妊症に対する新鮮胚移植と凍結胚移植との比較
Fresh versus Frozen Embryos for Infertility in the Polycystic Ovary Syndrome

Z.-J. Chen and Others

背景

体外受精(IVF)には一般的に新鮮胚移植が凍結胚移植よりも好まれるが,多囊胞性卵巣症候群の女性では,凍結胚移植によって生児出生率が向上し,卵巣過剰刺激症候群と妊娠合併症の発生率が低下する可能性があることを示すエビデンスも存在する.

方 法

多施設共同試験において,多囊胞性卵巣症候群の不妊女性で,IVF の 1 回目のサイクルを行う 1,508 例を,新鮮胚を移植する群と,胚を凍結保存し,凍結胚を移植する群に無作為に割り付けた.発生から 3 日目の新鮮胚または凍結胚を最大 2 個移植した.主要転帰は 1 回目の胚移植後の生児出生とした.

結 果

1 回目の移植後の生児出生率は,凍結胚移植群のほうが新鮮胚移植群よりも高く(49.3% 対 42.0%),率比 1.17(95%信頼区間 [CI] 1.05~1.31)であった(P=0.004).凍結胚移植群のほうが,妊娠喪失の頻度も低く(22.0% 対 32.7%),率比 0.67(95% CI 0.54~0.83)であり(P<0.001),卵巣過剰刺激症候群の頻度も低く(1.3% 対 7.1%),率比 0.19(95% CI 0.10~0.37)であったが(P<0.001),妊娠高血圧腎症の頻度が高く(4.4% 対 1.4%),率比 3.12(95% CI 1.26~7.73)であった(P=0.009).その他の妊娠合併症,新生児合併症の発生率に群間で有意差は認められなかった.新生児死亡は凍結胚移植群で 5 件認められたが,新鮮胚移植群では認められなかった(P=0.06).

結 論

多囊胞性卵巣症候群の不妊女性において,凍結胚移植は,新鮮胚移植と比較して,1 回目の移植後の生児出生率が高く,卵巣過剰刺激症候群リスクが低く,妊娠高血圧腎症リスクが高いことに関連した.(中国国家重点基礎研究発展計画ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01841528)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 523 - 33. )