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August 18, 2016 Vol. 375 No. 7

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軽症持続型喘息の幼児におけるアセトアミノフェンとイブプロフェンとの比較
Acetaminophen versus Ibuprofen in Young Children with Mild Persistent Asthma

W.J. Sheehan and Others

背景

小児におけるアセトアミノフェンの頻用と喘息関連合併症との関連が示されていることから,喘息小児にはアセトアミノフェンの使用を控えることを推奨している医師もいる.しかし,この関連を評価する目的で適切にデザインされた試験はない.

方 法

多施設共同前向き無作為化二重盲検並行群間試験において,軽症持続型喘息の小児 300 例(年齢範囲 12~59 ヵ月)を登録し,48 週の期間中,発熱時または疼痛発現時にアセトアミノフェンを頓用する群と,イブプロフェンを頓用する群に割り付けた.主要評価項目は,全身ステロイド投与にいたった喘息の急性増悪の回数とした.両群とも,同時に行われた関連試験で検討された,標準的長期管理薬治療を受けた.

結 果

試験全体での試験薬の投与回数は中央値で 5.5 回(四分位範囲 1.0~15.0)であり,群間で有意差は認められなかった(P=0.47).1 例あたりの急性増悪の回数にも群間で有意差は認められず,46 週の追跡期間中,アセトアミノフェン群では平均 0.81 回,イブプロフェン群では平均 0.87 回であった(アセトアミノフェン群のイブプロフェン群に対する急性増悪の相対的比率 0.94,95%信頼区間 0.69~1.28,P=0.67).急性増悪が 1 回以上認められた割合はアセトアミノフェン群 49%,イブプロフェン群 47%であり,2 回以上認められた割合はそれぞれ 21%,24%であった.同様に,アセトアミノフェン群とイブプロフェン群とで,喘息がコントロールされていた日数の割合(それぞれ 85.8%と 86.8%,P=0.50),アルブテロール(サルブタモール)の発作時吸入(1 週あたりそれぞれ 2.8 回と 3.0 回,P=0.69),喘息による予定外の受診・入院(1 例あたりそれぞれ 0.75 回と 0.76 回,P=0.94),有害事象に有意差は認められなかった.

結 論

軽症持続型喘息の幼児において,アセトアミノフェンの頓用は,イブプロフェンの頓用と比較して,急性増悪の発現率が高くなることと,喘息コントロールが不良になることとの関連は示されなかった.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.AVICA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01606319)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 619 - 30. )