The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 18, 2016 Vol. 375 No. 7

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

妊娠中の 1 型糖尿病女性におけるクローズドループインスリン送達
Closed-Loop Insulin Delivery during Pregnancy in Women with Type 1 Diabetes

Z.A. Stewart and Others

背景

妊娠していない 1 型糖尿病患者では,クローズドループ(自動)インスリン送達システムにより,センサー付きインスリンポンプ療法と比較して良好な血糖コントロールが得られる.しかし,妊娠中のクローズドループ療法の有効性,安全性,実行可能性に関するデータは不足している.

方 法

夜間のクローズドループ療法とセンサー付きインスリンポンプ療法とを比較する非盲検無作為化クロスオーバー試験を行った.継続期には,終日クローズドループシステムを使用した.1 型糖尿病の妊娠女性 16 例が,4 週の期間中に,クローズドループポンプ療法(介入)とセンサー付きインスリンポンプ療法(対照)をランダムな順序で完了した.継続期には,14 例が分娩までのあいだ,終日クローズドループシステムを使用した.主要評価項目は,夜間血糖値が目標範囲内(63~140 mg/dL [3.5~7.8 mmol/L])であった時間の割合とした.

結 果

夜間血糖値が目標範囲内であった時間の割合は,クローズドループ療法期間のほうが,対照療法期間よりも高かった(74.7% 対 59.5%,絶対差 15.2 パーセントポイント,95%信頼区間 6.1~24.2,P=0.002).夜間の平均血糖値は,クローズドループ療法期間のほうが,対照療法期間よりも低かった(119 mg/dL 対 133 mg/dL [6.6 mmol/L 対 7.4 mmol/L],P=0.009).クローズドループ療法と対照療法とで,血糖値が目標範囲を下回った時間の割合(それぞれ 1.3%,1.9%;P=0.28),インスリン投与量,有害事象の発現率に有意差は認められなかった.継続期(最長 14.6 週の延長,出産前の入院,陣痛,分娩を含む)では,血糖値が目標範囲内であった時間の割合は 68.7%であり,平均血糖値は 126 mg/dL(7.0 mmol/L)であった.第三者の介助を必要とする重度の低血糖エピソードは,いずれの期間にも発現しなかった.

結 論

1 型糖尿病の妊娠女性において,夜間のクローズドループ療法により,センサー付きインスリンポンプ療法と比較して良好な血糖コントロールが得られた.終日クローズドループ療法を継続した患者では,出産前の入院,陣痛,分娩を含む期間中に,高い割合で血糖コントロールが維持されていた.(英国国立健康研究所ほかから研究助成を受けた.Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN71510001)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 644 - 54. )