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September 1, 2016 Vol. 375 No. 9

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ブデソニド+ホルモテロールとブデソニド単独とによる重篤な喘息イベントの比較
Serious Asthma Events with Budesonide plus Formoterol vs. Budesonide Alone

S.P. Peters and Others

背景

喘息治療において,吸入ステロイドに長時間作用性β2 刺激薬を併用することの安全性については,懸念が残っている.米国食品医薬品局(FDA)が義務付けている市販後安全性調査において,喘息患者のブデソニド維持療法にホルモテロールを追加することで,重篤な喘息関連イベントのリスクが上昇するかどうかを検討した.

方 法

26 週間の多施設共同二重盲検試験において,持続型喘息で喘息治療薬の連日投与を受けており,過去 1 年間に 1~4 回の発作を起こしている患者(12 歳以上)を,ブデソニド+ホルモテロール群とブデソニド単独群に無作為に割り付けた.生命に関わる喘息の既往がある患者は除外した.主要エンドポイントは,重篤な喘息関連イベント(判定された死亡,気管挿管,入院の複合)の初回発生とし,生存時間(time-to-event)解析で評価した.ブデソニド+ホルモテロールのブデソニド単独に対する非劣性は,主要安全性エンドポイントのリスクの 95%信頼区間上限が 2.0 を下回る場合に示されることとした.主要有効性エンドポイントは喘息発作の初回発生とし,生存時間解析で評価した.

結 果

11,693 例を無作為化し,5,846 例をブデソニド+ホルモテロール群に,5,847 例をブデソニド単独群に割り付けた.重篤な喘息関連イベントは,ブデソニド+ホルモテロール群 43 例,ブデソニド単独群 40 例で発生し(ハザード比 1.07,95%信頼区間 [CI] 0.70~1.65),ブデソニド単独に対するブデソニド+ホルモテロールの非劣性が示された.喘息死は 2 例(いずれもブデソニド+ホルモテロール群)あり,このうち 1 例は,喘息に伴う気管挿管を受けていた.喘息発作のリスクは,ブデソニド+ホルモテロール群が,ブデソニド単独群よりも 16.5%低かった(ハザード比 0.84,95% CI 0.74~0.94,P=0.002).

結 論

主に中等症~重症の喘息を有する思春期児および成人では,ブデソニド+ホルモテロールは,ブデソニド単独と比較して,喘息発作のより低いリスクに関連していたが,重篤な喘息関連イベントのリスクは同程度であった.(AstraZeneca 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01444430)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 850 - 60. )