March 15, 2018 Vol. 378 No. 11
アフリカにおけるクリプトコッカス髄膜炎に対する抗真菌薬併用療法
Antifungal Combinations for Treatment of Cryptococcal Meningitis in Africa
S.F. Molloy and Others
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に関連する死亡の年間 100,000 例以上は,クリプトコッカス髄膜炎に起因する.アフリカにおいて,標準的な 2 週間のアムホテリシン B とフルシトシンの併用療法よりも継続しやすく,広く用いられているフルコナゾール単独療法よりも有効である可能性のある 2 つの治療戦略を検討した.
HIV に感染したクリプトコッカス髄膜炎の成人患者を,経口レジメン(フルコナゾール [1,200 mg/日] とフルシトシン [100 mg/kg/日] を 2 週間投与)を行う群,アムホテリシン B(1 mg/kg/日)を 1 週間投与する群,アムホテリシン B(1 mg/kg/日)を 2 週間投与する群に無作為に割り付けた.アムホテリシン B 投与に割り付けた患者をさらに,併用薬としてフルコナゾールを投与する群とフルシトシンを投与する群に無作為に割り付けた.導入療法後は全例にフルコナゾール地固め療法を行い,10 週まで追跡した.
721 例を無作為化した.2 週の時点での死亡率は,経口レジメン群,1 週間のアムホテリシン B 投与群,2 週間のアムホテリシン B 投与群でそれぞれ 18.2%(225 例中 41 例),21.9%(224 例中 49 例),21.4%(229 例中 49 例)であり,10 週の時点では 35.1%(225 例中 79 例),36.2%(224 例中 81 例),39.7%(229 例中 91 例)であった.2 週死亡率の差に関する片側 97.5%信頼区間の上限は,経口レジメン群と 2 週間のアムホテリシン B 投与群との比較で 4.2 パーセントポイント,1 週間のアムホテリシン B 投与群と 2 週間のアムホテリシン B 投与群との比較で 8.1 パーセントポイントであり,いずれも事前に規定した非劣性マージンである 10 パーセントポイントを下回った.アムホテリシン B の併用薬として,フルシトシンはフルコナゾールに対し優越性を示した(死亡 71 例 [31.1%] 対 101 例 [45.0%],10 週の時点での死亡のハザード比 0.62,95%信頼区間 [CI] 0.45~0.84,P=0.002).1 週間のアムホテリシン B とフルシトシンの併用が,もっとも低い 10 週死亡率に関連していた(24.2%,95% CI 16.2~32.1).重度の貧血などの副作用の頻度は,2 週間のアムホテリシン B 投与群で,1 週間のアムホテリシン B 投与群や経口レジメン群よりも高かった.
1 週間のアムホテリシン B とフルシトシンの併用,および 2 週間のフルコナゾールとフルシトシンの併用は,医療資源が限られた環境におけるクリプトコッカス髄膜炎の導入療法として有効であった.(ACTA 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN45035509)