The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

June 14, 2018 Vol. 378 No. 24

腹部大手術に対する制限的輸液療法と非制限的輸液療法との比較
Restrictive versus Liberal Fluid Therapy for Major Abdominal Surgery

P.S. Myles and Others

背景

大手術を受ける患者の早期回復を目的としたガイドラインでは,腹部手術に対して制限的静脈内輸液戦略を推奨している.しかし,それを支持するエビデンスは限られており,臓器灌流障害が懸念される.

方 法

実用的国際試験で,腹部大手術中の合併症リスクが高い患者 3,000 例を,術中から術後 24 時間まで,制限的静脈内輸液レジメンを行う群と非制限的静脈内輸液レジメンを行う群に無作為に割り付けた.主要転帰は 1 年の時点での無障害生存とした.主な副次的転帰は,30 日の時点での急性腎障害,90 日の時点での腎代替療法,敗血症性合併症・手術部位感染・死亡の複合とした.

結 果

術中から術後 24 時間までのあいだに,制限的輸液群 1,490 例における静脈内輸液量の中央値は 3.7 L(四分位範囲 2.9~4.9)であったのに対し,非制限的輸液群 1,493 例では 6.1 L(四分位範囲 5.0~7.4)であった(P<0.001).1 年の時点での無障害生存率は,制限的輸液群 81.9%,非制限的輸液群 82.3%であった(死亡または障害のハザード比 1.05,95%信頼区間 0.88~1.24,P=0.61).急性腎障害の発生率は,制限的輸液群 8.6%,非制限的輸液群 5.0%であった(P<0.001).敗血症性合併症と死亡の複合発生率は,制限的輸液群 21.8%,非制限的輸液群 19.8%であった(P=0.19).手術部位感染の発生率(16.5% 対 13.6%,P=0.02)と腎代替療法の施行率(0.9% 対 0.3%,P=0.048)は制限的輸液群のほうが高かったが,多重検定で補正すると群間で有意差は認められなかった.

結 論

腹部大手術中の合併症リスクが高い患者において,制限的輸液レジメンは,非制限的輸液レジメンと比較して無障害生存率が高いことには関連せず,急性腎障害の発生率が高いことに関連した.(オーストラリア国立保健医療研究審議会ほかから研究助成を受けた.RELIEF 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01424150)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 2263 - 74. )