The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

June 14, 2018 Vol. 378 No. 24

小児の糖尿病ケトアシドーシスに対する輸液の注入速度に関する臨床試験
Clinical Trial of Fluid Infusion Rates for Pediatric Diabetic Ketoacidosis

N. Kuppermann and Others

背景

小児の糖尿病ケトアシドーシスは,軽度~重度の脳損傷を引き起こす可能性がある.静脈内輸液がこのような損傷に寄与しているかは,何十年も議論が続いている.

方 法

13 施設で行われた無作為化比較試験で,静脈内輸液の注入速度と塩化ナトリウム含有量が糖尿病ケトアシドーシスの患児の神経学的転帰に及ぼす影響を検討した.患児を,2×2 要因デザイン(塩化ナトリウム含有量 0.9%または 0.45%と,高速注入または低速注入)により 4 つの治療群のいずれかに無作為に割り付けた.糖尿病ケトアシドーシス治療中の意識レベルの低下(グラスゴー昏睡尺度 [GCS] スコア [3~15 で,スコアが小さいほど意識レベルが低いことを示す] が 2 回連続で 14 未満)を主要転帰とした.糖尿病ケトアシドーシス治療中の臨床的に明らかな脳損傷,糖尿病ケトアシドーシス治療中の短期記憶,糖尿病ケトアシドーシス回復後 2~6 ヵ月の時点での記憶や IQ などを副次的転帰とした.

結 果

1,255 例で,1,389 件の糖尿病ケトアシドーシスのエピソードが報告された.48 件(3.5%)で GCS スコアが 14 未満に低下し,12 件(0.9%)で臨床的に明らかな脳損傷が発生した.糖尿病ケトアシドーシス治療中,GCS スコアが 14 未満に低下したエピソードの割合,低下した程度,14 未満であった期間,ならびに短期記憶検査の結果,臨床的に明らかな脳損傷の発生率に,群間で有意差は認められなかった.糖尿病ケトアシドーシスから回復後の記憶スコアと IQ スコアにも,群間で有意差は認められなかった.意識障害以外の重篤な有害事象はまれであり,頻度は全群で同程度であった.

結 論

静脈内輸液の注入速度と塩化ナトリウム含有量は,いずれも糖尿病ケトアシドーシスの患児の神経学的転帰に有意には影響しなかった.(ユニス・ケネディ・シュライバー米国国立小児保健・人間発達研究所,米国保健資源事業局から研究助成を受けた.PECARN DKA FLUID 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00629707)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 2275 - 87. )