The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

Share

RSS

日本語アブストラクト

June 21, 2018 Vol. 378 No. 25

シスプラチン誘発性の聴覚障害からの保護に対するチオ硫酸ナトリウム
Sodium Thiosulfate for Protection from Cisplatin-Induced Hearing Loss

P.R. Brock and Others

背景

シスプラチンによる化学療法と手術は,標準リスク肝芽腫の患児に対する有効な治療法であるが,重大かつ不可逆的な聴覚障害を引き起こす可能性がある.この試験では,全生存と無イベント生存が損なわれることなくシスプラチンに関連した聴覚毒性の発現率と重症度を低下させることを目的として,シスプラチン単独療法と,シスプラチン投与後にチオ硫酸ナトリウムを遅延投与する併用療法とを比較した.

方 法

標準リスク肝芽腫(腫瘍を認める肝区域 3 つ以下,転移なし,α-フェトプロテイン値 100 ng/mL 超)を有する生後 1 ヵ月超~18 歳未満の患児を,術前に 4 回と術後に 2 回,シスプラチン投与(80 mg/m2 体表面積を 6 時間かけて投与)のみを行う群と,シスプラチンとチオ硫酸ナトリウムの併用(シスプラチン投与終了から6 時間後に 20 g/m2 を 15 分かけて静脈内投与)を行う群に無作為に割り付けた.最少年齢 3.5 歳の時点で,純音聴力検査で測定した最小可聴値を主要評価項目とした.聴覚障害は Brock グレード(0~4 で,グレードが高いほど聴覚障害が重度であることを示す)で評価した.3 年の時点での全生存率と無イベント生存率を主な副次的評価項目とした.

結 果

109 例がシスプラチン+チオ硫酸ナトリウム群(57 例)とシスプラチン単独群(52 例)に無作為に割り付けられ,評価しえた.チオ硫酸ナトリウムに関連する高グレードの毒性はほとんど認められなかった.最小可聴値は 101 例で評価した.グレード 1 以上の聴覚障害は,シスプラチン+チオ硫酸ナトリウム群では 55 例中 18 例(33%)で発生したのに対し,シスプラチン単独群では 46 例中 29 例(63%)で発生し,シスプラチン+チオ硫酸ナトリウム群では聴覚障害の発生率が 48%低いことが示された(相対リスク 0.52,95%信頼区間 [CI] 0.33~0.81,P=0.002).追跡期間中央値 52 ヵ月の時点で,3 年無イベント生存率はシスプラチン+チオ硫酸ナトリウム群 82%(95% CI 69~90),シスプラチン単独群 79%(95% CI 65~88)であり,3 年全生存率はそれぞれ 98%(95% CI 88~100)と 92%(95% CI 81~97)であった.

結 論

標準リスク肝芽腫の患児では,シスプラチンによる化学療法から 6 時間後にチオ硫酸ナトリウムを追加投与することで,全生存と無イベント生存が損なわれることなく,シスプラチンに誘発される聴覚障害の発生率が低下した.(キャンサーリサーチ UK ほかから研究助成を受けた.SIOPEL 6 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00652132,EudraCT 登録番号 2007-002402-21)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 2376 - 85. )