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June 28, 2018 Vol. 378 No. 26

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ステロイド依存性重症喘息に対するデュピルマブの有効性と安全性
Efficacy and Safety of Dupilumab in Glucocorticoid-Dependent Severe Asthma

K.F. Rabe and Others

背景

デュピルマブは,インターロイキン-4 とインターロイキン-13 の両方のシグナル伝達を阻害する完全ヒト抗インターロイキン-4 受容体αモノクローナル抗体である.重症喘息患者において,喘息コントロールを維持しながら経口ステロイド使用量を減らす際のデュピルマブの有効性は明らかにされていない.

方 法

経口ステロイド治療を受けている喘息患者 210 例を,追加治療としてデュピルマブ(300 mg)を投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付け,2 週ごとの投与を 24 週間行った.無作為化前のステロイド投与量調整期間後,4 週から 20 週までステロイド投与量を減らす方向で調整し,その後の 4 週間は安定用量で維持した.主要評価項目は 24 週の時点でのステロイド投与量の減少割合とした.主な副次的評価項目は 24 週の時点でのステロイド投与量が 50%以上減少した患者の割合,5 mg/日未満まで減少した患者の割合とした.重症発作の発生率と気管支拡張薬使用前の 1 秒量(FEV1)も評価した.

結 果

ステロイド投与量の変化は,デュピルマブ群では -70.1%であったのに対し,プラセボ群では -41.9%であった(P<0.001).投与量が 50%以上減少した患者の割合は,デュピルマブ群 80%に対しプラセボ群 50%,5 mg/日未満まで減少した患者の割合は 69%に対し 33%,経口ステロイドの使用を完全に中止した患者の割合は 48%に対し 25%であった.全体では,ステロイド投与量が減少したものの,デュピルマブ投与による重症発作の発生率はプラセボ群と比較して 59%(95%信頼区間 [CI] 37~74)低く,FEV1 はプラセボ群と比較して 0.22 L(95% CI 0.09~0.34)高かった.注射部位反応の頻度は,デュピルマブ群のほうがプラセボ群よりも高かった(9% 対 4%).一過性の血中好酸球増多が認められる頻度も,デュピルマブ群のほうがプラセボ群よりも高かった(14% 対 1%).

結 論

ステロイド依存性重症喘息患者では,デュピルマブ投与によって経口ステロイドの使用量は減少し,その一方で重症発作の発生率は低下し,FEV1 は増加した.デュピルマブ群では,およそ 7 例に 1 例の割合で一過性の好酸球増多が認められた.(Sanofi 社,Regeneron Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.LIBERTY ASTHMA VENTURE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02528214)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 378 : 2475 - 85. )