コントロール不良の中等症~重症喘息に対するデュピルマブの有効性と安全性
Dupilumab Efficacy and Safety in Moderate-to-Severe Uncontrolled Asthma
M. Castro and Others
デュピルマブは,インターロイキン-4 とインターロイキン-13 の両方のシグナル伝達を阻害する完全ヒト抗インターロイキン-4 受容体αモノクローナル抗体である.コントロール不良の喘息患者においてデュピルマブの有効性と安全性を評価した.
12 歳以上のコントロール不良の喘息患者 1,902 例を,追加治療としてデュピルマブ 200 mg または 300 mg を皮下投与する群と,それぞれに容量をマッチさせたプラセボを投与する群に 2:2:1:1 の割合で無作為に割り付け,2 週ごとの投与を 52 週間行った.主要評価項目は,試験集団全体における重症喘息発作の年間発生率と,気管支拡張薬使用前の 1 秒量(FEV1)のベースラインから 12 週までの絶対値の変化とした.副次的評価項目は,血中好酸球数が 300/mm3 以上の患者における発作の発生率,FEV1 などとした.喘息コントロールとデュピルマブの安全性も評価した.
重症喘息発作の年間発生率は,デュピルマブ 200 mg の 2 週ごと投与に割り付けられた患者では 0.46(95%信頼区間 [CI] 0.39~0.53),マッチさせたプラセボに割り付けられた患者では 0.87(95% CI 0.72~1.05)であり,デュピルマブのほうがプラセボよりも 47.7%低かった(P<0.001).デュピルマブ 300 mg の 2 週ごと投与でも同様の結果がみられた.12 週の時点で,デュピルマブの低用量群に割り付けられた患者では FEV1 が 0.32 L 増加し(マッチさせたプラセボとの差 0.14 L,P<0.001),高用量群でも同様の結果がみられた.血中好酸球数が 300/mm3 以上の患者では,重症喘息発作の年間発生率は,低用量のデュピルマブを投与した患者で 0.37(95% CI 0.29~0.48),マッチさせたプラセボを投与した患者で 1.08(95% CI 0.85~1.38)であり(デュピルマブでプラセボよりも 65.8% [95% CI 52.0~75.6] 低下),高用量群でも同様の結果が認められた.介入開始後,デュピルマブ群では血中好酸球増多が 52 例(4.1%)に出現したのに対し,プラセボ群では 4 例(0.6%)に出現した.
この試験では,デュピルマブ投与例のほうがプラセボ投与例よりも重症喘息発作の発生率が有意に低く,肺機能と喘息コントロールも良好であった.ベースラインの血中好酸球数が高値の患者では,より大きな利益が認められた.一部の患者に好酸球増多症が認められた.(Sanofi 社,Regeneron Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.LIBERTY ASTHMA QUEST 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02414854)