長時間作用性β2 刺激薬の喘息安全性試験の統合解析
Combined Analysis of Asthma Safety Trials of Long-Acting β2-Agonists
W.W. Busse and Others
喘息管理における長時間作用性β2 刺激薬(LABA)に関する安全性の懸念は,大規模市販後臨床試験で死亡リスクの上昇が認められたことではじめて指摘された.2010 年に,米国食品医薬品局(FDA)は,喘息に対する LABA を販売している 4 社に,思春期患者(12~17 歳)と成人患者を対象として,LABA+吸入ステロイド併用療法の安全性と吸入ステロイド単独の安全性とを比較する前向き無作為化対照試験を行うことを命じた.製造業者は FDA と協力して,独立した合同監督委員会が 4 試験の最終統合解析を行えるよう試験方法を統一した.
われわれは合同監督委員会のメンバーとして,吸入ステロイド+LABA(併用療法)と吸入ステロイド単独とを比較した 4 試験の統合解析を行った.主要転帰は喘息に関連した挿管または死亡の複合とした.事後の副次的転帰は重篤な喘息関連イベント,喘息発作などとした.
intention-to-treat 解析対象の 36,010 例のうち,4 例で,喘息に関連する挿管が 3 件(吸入ステロイド群 2 件,併用療法群 1 件)と,喘息に関連する死亡が 2 件(いずれも併用療法群)あった.重篤な喘息関連イベント(入院,挿管,死亡の複合)の副次的解析では,1 件以上の複合イベントが吸入ステロイド群 18,006 例中 108 例(0.60%)と併用療法群 18,004 例中 119 例(0.66%)で発生し(併用療法群の相対リスク 1.09,95%信頼区間 [CI] 0.83~1.43,P=0.55),1 件以上の喘息発作が吸入ステロイド群の 2,100 例(11.7%)と併用療法群の 1,768 例(9.8%)で発生した(相対リスク 0.83,95% CI 0.78~0.89,P<0.001).
LABA+吸入ステロイド併用療法では,吸入ステロイド単独と比較して,重篤な喘息関連イベントのリスクが有意に高まる結果とはならず,喘息発作が有意に少なかった.