March 15, 2018 Vol. 378 No. 11
アメリカ大陸フランス領におけるジカウイルス感染後の妊娠転帰
Pregnancy Outcomes after ZIKV Infection in French Territories in the Americas
B. Hoen and Others
ジカウイルス(ZIKV)感染に関連する神経系の先天異常のリスクは,報告によって 6~42%と幅がある.われわれは,アメリカ大陸フランス領において,ZIKV に感染した有症状の妊娠女性におけるこのリスクを推定する目的で研究を行った.
2016 年 3 月~11 月に,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で ZIKV 感染が確認された有症状の妊娠女性を前向きコホート研究に登録した.このコホートにおける最後の出産日である 2017 年 4 月 27 日までに収集された全データを解析対象とした.
解析した妊娠 546 件の胎児・新生児 555 例のうち,28 例(5.0%)は妊娠が継続しなかったか死産であり,527 例は出生した.ZIKV 感染に関連する可能性のある神経障害と眼障害は胎児・新生児 39 例(7.0%,95%信頼区間 5.0~9.5)で認められ,うち 10 例は医学的理由で妊娠中絶したために妊娠は継続されず,1 例は死産,28 例は出生した.小頭症(頭囲が,同じ性別・在胎期間の児での平均より 2 SD 超小さい)は 32 例(5.8%)で認められ,うち 9 例(1.6%)は重度の小頭症(平均より 3 SD 超小さい)であった.神経障害と眼障害の頻度は,ZIKV 感染が妊娠第 1 期の場合(189 例中 24 例 [12.7%])に,第 2 期の場合(252 例中 9 例 [3.6%])や第 3 期の場合(114 例中 6 例 [5.3%])よりも高かった(P=0.001).
PCR で ZIKV 感染が確認された有症状の妊娠女性では,胎児・新生児の 7%に ZIKV 感染に関連する可能性のある先天異常が認められた.胎児・新生児に異常を認める頻度は,母親が妊娠初期に感染した場合により高かった.出生時に検出されない症状について評価するために,児をより長期にわたって追跡する必要がある.(フランス保健省ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02916732)