September 20, 2018 Vol. 379 No. 12
2000~15 年のアフリカにおける小児の下痢の罹患率と死亡率の地域差
Variation in Childhood Diarrheal Morbidity and Mortality in Africa, 2000–2015
R.C. Reiner, Jr., and Others
下痢性疾患は,2015 年のアフリカの 5 歳未満児における疾患と死亡の原因の第 3 位であり,推定で 3,000 万例(95%信用区間 2,700 万~3,300 万)の重度の下痢と 330,000 例(95%信用区間 270,000~380,000)の死亡に寄与した.この疾病負担に対処するための標的アプローチの開発は,アフリカ諸国間および各国内における下痢に関連する疾患・死亡の包括的かつ詳細な推定値が少ないため妨げられている.
アフリカを地理的に細区分(5 km2)し,2000~15 年の下痢の有病率および発生率と,下痢関連死亡率の年間推定値を算出した.推定値はベイズ地球統計学的手法を用いて算出し,世界の疾病負担研究 2016(GBD 2016)の結果をもとに調整した.
アフリカにおける下痢のリスクには地理的な格差が認められた.2015 年の下痢に起因する小児死亡の推定値 330,000 例のうち,50%超が 782 の一次的行政区画(州など)の 55 区画で発生していた.2015 年のナイジェリアにおける死亡率には,一次的行政区画のあいだで最大 6 倍の差があった.致死率にはアフリカの国レベルで大きなばらつきがあり,ベナン,レソト,マリ,ナイジェリア,シエラレオネできわめて高かった.
今回の結果から,下痢の負担が一貫して高い国だけでなく,負担が国レベルで大幅に低下している国においても,下痢性疾患と下痢関連死亡が集中している地域があることが示された.(ビル&メリンダ・ゲイツ財団から研究助成を受けた.)