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October 4, 2018 Vol. 379 No. 14

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乾癬に対する選択的チロシンキナーゼ 2 阻害療法の第 2 相試験
Phase 2 Trial of Selective Tyrosine Kinase 2 Inhibition in Psoriasis

K. Papp and Others

背景

乾癬の病態生理には,サイトカインのシグナル伝達を仲介するチロシンキナーゼ 2(TYK2)シグナル伝達経路が関与している.TYK2 の選択的阻害薬は乾癬の治療に有効である可能性がある.

方 法

中等症~重症の乾癬を有する成人を対象に,TYK2 阻害薬 BMS-986165 の第 2 相二重盲検試験を行った.過去に同じチロシンキナーゼ経路を介するサイトカインシグナル伝達を標的とする薬剤に反応しなかった患者は除外した.患者を,この薬剤を 3 mg で隔日経口投与する群,3 mg で 1 日 1 回投与する群,3 mg で 1 日 2 回投与する群,6 mg で 1 日 2 回投与する群,12 mg で 1 日 1 回投与する群と,プラセボ群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,12 週の時点での乾癬の面積・重症度指数(PASI)スコア(スコアが高いほど乾癬が重症であることを示す)のベースラインから 75%以上の減少とした.

結 果

介入群では 267 例が 1 回以上の投与を受けた.12 週の時点で,PASI スコアが 75%以上減少した患者の割合は,プラセボ群で 7%(45 例中 3 例),BMS-986165 3 mg 隔日群で 9%(44 例中 4 例)(プラセボ群との比較で P=0.49),3 mg 1 日 1 回群で 39%(44 例中 17 例)(プラセボ群との比較で P<0.001),3 mg 1 日 2 回群で 69%(45 例中 31 例)(プラセボ群との比較で P<0.001),6 mg 1 日 2 回群で 67%(45 例中 30 例)(プラセボ群との比較で P<0.001),12 mg 1 日 1 回群で 75%(44 例中 33 例)(プラセボ群との比較で P<0.001)であった.実薬投与を受けている患者における重篤な有害事象は 3 件あり,また投与開始後 96 日目に悪性黒色腫が 1 例で発生した.

結 論

経口薬 BMS-986165 を 3 mg 1 日 1 回およびそれ以上投与する選択的 TYK2 阻害療法は,12 週の期間にプラセボよりも乾癬病変の大きな消失をもたらした.乾癬患者におけるこの薬剤の安全性および効果の持続性を明らかにするには,さらに大規模かつ長期の試験が必要である.(Bristol-Myers Squibb 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02931838)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 1313 - 21. )