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October 4, 2018 Vol. 379 No. 14

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集中治療環境下での Candida auris 感染の集団発生とその制御
A Candida auris Outbreak and Its Control in an Intensive Care Setting

D.W. Eyre and Others

背景

Candida auris は新興多剤耐性病原体である.われわれは,1 件の C. auris の保菌・感染の院内集団発生の疫学を報告する.

方 法

英国のオックスフォード大学関連病院の神経科学集中治療室(ICU)で C. auris に感染した集団が同定された後,集中的な患者・環境スクリーニングプログラムと一連の介入を開始した.多変量ロジスティック回帰を用いて,C. auris の保菌と感染の予測因子を同定した.患者からの分離株と環境からの分離株を全ゲノム配列決定で解析した.

結 果

2015 年 2 月 2 日~2017 年 8 月 31 日の期間に,C. auris を保菌または感染している患者 70 例が同定された.そのうち 66 例(94%)は診断前に神経科学 ICU に入室していた.7 例が侵襲性 C. auris 感染症を発症した.神経科学 ICU 在室日数と,バイタルサインおよび臨床検査結果を補正した場合,C. auris の保菌または感染の予測因子は,再使用可能な皮膚表面腋窩温プローブの使用(多変量オッズ比 6.80,95%信頼区間 [CI] 2.96~15.63,P<0.001),フルコナゾールへの全身曝露(多変量オッズ比 10.34,95% CI 1.64~65.18,P=0.01)などであった.通常の環境では C. auris はほとんど検出されなかった.しかし,複数の皮膚表面腋窩温プローブで検出されるなど,再使用器材からの分離株では検出された.感染を制御する介入を組み合わせて行ったにもかかわらず,体温プローブを廃止してようやく,新規症例の発生率は低下した.集団発生のすべての配列は,C. auris 南アフリカクレード内の 1 つの遺伝子集団を形成した.配列が決定された再使用器材からの分離株は,患者からの分離株と遺伝的に関連していた.

結 論

この院内集団発生における C. auris の伝播に,再使用腋窩温プローブとの関連が認められた.このことから,この新興病原体は環境内で存在し続け,医療環境下で伝播しうることが示された.(英国国立健康研究所のオックスフォード大学を拠点とする医療関連感染および抗菌薬耐性に関する健康保護研究ユニットほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 1322 - 31. )