The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

October 11, 2018 Vol. 379 No. 15

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

骨髄増殖性腫瘍の分類と個別の予後予測
Classification and Personalized Prognosis in Myeloproliferative Neoplasms

J. Grinfeld and Others

背景

真性多血症,本態性血小板血症,骨髄線維症などの骨髄増殖性腫瘍は,進行速度が異なる慢性の造血器腫瘍である.骨髄増殖性腫瘍患者のゲノム異常解析により,個別の診断,リスク層別化,治療が可能になる可能性がある.

方 法

骨髄増殖性腫瘍患者の 69 個の骨髄系腫瘍遺伝子のコーディングエクソンの配列を決定し,ドライバー変異とコピー数の変化を包括的に記述した.骨髄増殖性腫瘍のゲノム分類法と,個々の患者の転帰を予測するための多段階予後予測モデルを開発した.分類法と予後予測モデルの妥当性を外部のコホートで検証した.

結 果

2,035 例を解析対象とした.少なくとも 5 例の 33 個の遺伝子でドライバー変異が認められ,患者の 45%は JAK2CALRMPL のいずれかの変異の単独の異常であった.ドライバー変異の数は年齢,進行期の疾患によって増加した.ドライバー変異,生殖細胞系列多型,人口統計学的変数によって,患者が,真性多血症と比較して本態性血小板血症と診断されたか,骨髄線維症と比較して慢性期疾患と診断されたかどうかが独立して予測された.血球数,白血病化のリスク,無イベント生存などの異なる臨床表現型を示す 8 つのゲノムサブグループを定義した.63 個の臨床変数とゲノム変数を組み合わせて,慢性期の骨髄増殖性腫瘍患者と骨髄線維症患者の臨床転帰を個別に調整して予測する予後予測モデルを作成した.訓練コホートの内部での相互の妥当性検証においても,独立した外部のコホートにおいても,予測された転帰と観察された転帰は良好な相関を示した.既存の予後予測法の各カテゴリー内でさえも,われわれのモデルによって予測精度が大幅に向上した

結 論

包括的ゲノム異常解析によって,異なる遺伝子サブグループが同定され,原因となる生物学的機序に基づき,骨髄増殖性腫瘍が分類された.ゲノムデータを臨床変数と組み合わせることによって,患者の転帰の個別の予測ができ,骨髄増殖性腫瘍患者の治療に役立つ可能性がある.(ウェルカムトラストほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 1416 - 30. )