October 11, 2018 Vol. 379 No. 15
急性腎障害と敗血症を呈する患者における腎代替療法の導入時期
Timing of Renal-Replacement Therapy in Patients with Acute Kidney Injury and Sepsis
S.D. Barbar and Others
急性腎障害(AKI)は,敗血症性ショック患者においてもっとも頻度が高い合併症であり,死亡の独立した危険因子である.腎代替療法は重症 AKI の標準治療であるが,理想的な導入時期に関しては議論が続いている.
多施設共同無作為化比較試験において,リスク・障害・不全・喪失・末期腎不全(RIFLE)分類で不全の段階にある重症 AKI を起こしているが,AKI に関連する生命を脅かす合併症は生じていない早期の敗血症性ショック患者を,AKI が不全の段階であることを確認してから 12 時間以内に腎代替療法を行う群(早期戦略)と,腎機能が回復しない場合 48 時間遅らせて腎代替療法を行う群(待期戦略)のいずれかに割り付けた.RIFLE 分類における不全の段階は,血清クレアチニン値がベースライン値の 3 倍(または 4 mg/dL 以上で 0.5 mg/dL 以上の急激な上昇を伴う),24 時間以上にわたって尿量が 0.3 mL/kg 体重/時未満,または 12 時間以上の無尿と定義した.主要転帰は 90 日の時点での死亡とした.
計画されていた 2 回目の中間解析後に,試験は無益性のため早期に中止された.488 例を無作為化し,患者背景に群間で顕著な差はなかった.90 日の時点での追跡調査データを入手しえた 477 例のうち,早期戦略群の 58%(239 例中 138 例)と待期戦略群の 54%(238 例中 128 例)が死亡していた(P=0.38).待期戦略群の 38%(93 例)は腎代替療法を受けなかった.待期戦略群の 17%(41 例)が緊急腎代替療法の基準を満たしていた.
重症 AKI を起こした敗血症性ショック患者において,腎代替療法導入に関して早期戦略に割り付けられた患者と待期戦略に割り付けられた患者とのあいだで,90 日の時点での全死亡率に有意差は認められなかった.(フランス保健省から研究助成を受けた.IDEAL-ICU 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01682590)