The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

July 12, 2018 Vol. 379 No. 2

遺伝子組換えポリオウイルスで治療した再発膠芽腫
Recurrent Glioblastoma Treated with Recombinant Poliovirus

A. Desjardins and Others

背景

世界保健機関(WHO)グレード IV の再発悪性神経膠腫患者の予後は不良であり,現時点で有効な治療法はない.われわれは,この患者集団を対象に用量探索・毒性試験を行い,対流強化輸送(convection-enhanced delivery)による遺伝子組換え非病原性ポリオ–ライノウイルスキメラ(PVSRIPO)の腫瘍内注入を評価した.PVSRIPO は,固形腫瘍の腫瘍細胞と腫瘍微小環境の主要成分に広範囲に発現するポリオウイルス受容体 CD155 を認識する.

方 法

テント上の WHO グレード IV 再発悪性神経膠腫を有する,連続する成人患者を組み入れた.腫瘍は病理組織学的検査で確認された,測定可能病変(造影剤で増強される腫瘍の最大径が 1 cm 以上かつ 5.5 cm 以下)とした.用量は,50%組織培養感染量(TCID50)が 107~1010 の 7 段階とし,まず用量漸増期で評価し,続いて用量拡大期で評価した.

結 果

2012 年 5 月~2017 年 5 月に 61 例が組み入れられ,PVSRIPO の注入を受けた.用量レベル -1(TCID50 が 5.0×107)を第 2 相試験の用量とした.用量制限毒性は 1 件あり,用量レベル 5(1010 TCID50)で注入を受けた 1 例が,カテーテル抜去直後にグレード 4 の頭蓋内出血を起こした.注入された腫瘍の局所炎症を長期ステロイド投与によって緩和するため,用量レベル 5 から第 2 相試験の用量に達するまで漸減した.用量拡大期では,患者の 19%にグレード 3 以上の PVSRIPO 関連有害事象が発現した.PVSRIPO 注入を受けた患者の全生存率は,24 ヵ月の時点で達した 21%(95%信頼区間 11~33)が 36 ヵ月の時点でも持続しており,プラトーとなった.

結 論

WHO グレード IV の再発悪性神経膠腫患者に対する PVSRIPO の腫瘍内注入に神経毒性はないことが確認された.PVSRIPO による免疫療法を受けた患者の生存率は,24 ヵ月と 36 ヵ月の時点では歴史的対照よりも高かった.(Brain Tumor Research Charity ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01491893)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 150 - 61. )