The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

July 12, 2018 Vol. 379 No. 2

ハリケーン「マリア」後のプエルトリコにおける死亡率
Mortality in Puerto Rico after Hurricane Maria

N. Kishore and Others

背景

自然災害が社会に及ぼす影響の定量化は,公衆衛生サービスとインフラの復旧に不可欠であるが,大災害の直後に死亡者数を評価するのは困難な場合がある.2017 年 9 月,ハリケーン「マリア」はプエルトリコのインフラに甚大な被害をもたらしたが,関連する死亡については議論が続いている.公式発表された死者数は 64 人である.

方 法

ハリケーン後の全死因死亡率を独自に推定するため,層別化された代表サンプルを用いて,プエルトリコ全土から無作為に抽出された 3,299 世帯を調査した.回答者には,住居からの移動,インフラ途絶,死因を尋ねた.推定したハリケーン後の死亡率を,2016 年の同期間の公式死亡率と比較し,超過死亡を算出した.

結 果

調査データから,2017 年 9 月 20 日~12 月 31 日の死亡率は 1,000 人あたり 14.3 例(95%信頼区間 [CI] 9.8~18.9)と推定された.この死亡率から,同期間の超過死亡は 4,645 例(95% CI 793~8,498)と算出され,2016 年の同期間の死亡率と比較して 62%の上昇に相当した.ただしこの数字は,生存者バイアスによって過小評価されている可能性がある.死亡率は 2017 年 12 月末まで高いまま推移し,死亡の 1/3 は医療の遅延または中断に起因していた.ハリケーンに関連する転居は相当数に上った.

結 論

今回の世帯調査で,プエルトリコにおけるハリケーン「マリア」に関連する超過死亡は,公式推定死亡者数の 70 倍を上回ることが示された.(ハーバード大学 T.H. Chan 公衆衛生大学院ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 162 - 70. )