October 25, 2018 Vol. 379 No. 17
Phe508del アレルを 1 個または 2 個有する囊胞性線維症患者における VX-445,テザカフトール,アイバカフトールの併用
VX-445–Tezacaftor–Ivacaftor in Patients with Cystic Fibrosis and One or Two Phe508del Alleles
D. Keating and Others
VX-445 は,テザカフトール(tezacaftor)とアイバカフトール(ivacaftor)との併用(VX-445+テザカフトール+アイバカフトール)で,囊胞性線維症患者の Phe508del 囊胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)蛋白の機能を回復させるようデザインされた次世代 CFTR 矯正薬である.
ヒト気管支上皮細胞を用いて,VX-445+テザカフトール+アイバカフトールが Phe508del CFTR 蛋白のプロセシング,輸送,クロライド輸送に及ぼす影響を評価した.in vitro 活性に基づき,Phe508del CFTR 変異と最小機能変異のヘテロ接合体(Phe508del–MF)を有する患者と,テザカフトール+アイバカフトール導入後の Phe508del CFTR 変異のホモ接合体(Phe508del–Phe508del)を有する患者を対象に,VX-445+テザカフトール+アイバカフトールの経口投与を評価する無作為化プラセボ対照二重盲検用量設定第 2 相試験を行った.主要評価項目は,安全性と,予測 1 秒量(FEV1)に対する比率の絶対値のベースラインからの変化量とした.
VX-445+テザカフトール+アイバカフトールは,in vitro では,Phe508del CFTR 蛋白のプロセシング,輸送,クロライド輸送を有意に改善させ,その程度は 3 剤のうちいずれか 2 剤を併用した場合よりも大きかった.囊胞性線維症患者においては,VX-445+テザカフトール+アイバカフトールの安全性と副作用プロファイルは忍容可能なものであった.大半の有害事象は軽度または中等度であった.また,Phe508del–MF 群では,投与により予測 FEV1 に対する比率が最大 13.8 ポイント増加した(P<0.001).テザカフトール+アイバカフトールの投与をすでに受けていた Phe508del–Phe508del 群の患者では,VX-445 を追加することで予測 FEV1 に対する比率が 11.0 ポイント増加した(P<0.001).両群とも,汗中クロライド濃度が低下し,囊胞性線維症質問票改訂版の呼吸器分野のスコアが改善した.
Phe508del CFTR 蛋白を標的として VX-445+テザカフトール+アイバカフトールを使用することにより,in vitro では CFTR 機能が改善し,Phe508del アレルを 1 個または 2 個有する囊胞性線維症患者においては改善という結果をもたらした.このアプローチにより,囊胞性線維症患者の約 90%で,その根本的原因を治療できる可能性がある.(Vertex Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.VX16-445-001 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03227471,EudraCT 登録番号 2017-000797-11)