October 25, 2018 Vol. 379 No. 17
結核予防のための M72/AS01E ワクチンの第 2b 相比較試験
Phase 2b Controlled Trial of M72/AS01E Vaccine to Prevent Tuberculosis
O. Van Der Meeren and Others
結核の伝播を止めるためのワクチンが必要である.
ケニア,南アフリカ,ザンビアにおいて,M72/AS01E 結核ワクチンの無作為化二重盲検プラセボ対照第 2b 相試験を行った.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陰性で,潜在性結核感染症(インターフェロンγ遊離試験にて確認)を有する 18~50 歳の成人を,M72/AS01E を筋肉注射により 1 ヵ月間隔で 2 回接種する群とプラセボ群に(1:1 の割合で)無作為に割り付けた.ほとんどの被験者はカルメット–ゲラン菌(BCG)ワクチンの接種歴があった.M72/AS01E の安全性と,細菌学的に確認される活動性肺結核症への進行抑制効果を評価した.臨床的に結核が疑われる症例は,喀痰を用いたポリメラーゼ連鎖反応法,抗酸菌培養,または双方で確認した.
現在進行中の試験の一次解析(平均追跡期間 2.3 年の時点で実施)の結果を報告する.1,786 例が M72/AS01E 接種を,1,787 例がプラセボ接種を受け,各群 1,623 例と 1,660 例がプロトコール遵守(according-to-protocol)有効性コホートに登録された.M72/AS01E 群では 10 例が主要エンドポイントである症例定義(治療前に細菌学的に確認された活動性肺結核)に合致したのに対し,プラセボ群では 22 例であった(発生率は 100 人年あたり 0.3 例 対 0.6 例).ワクチン有効性は 54.0%(90%信頼区間 [CI] 13.9~75.4,95% CI 2.9~78.2)であった(P=0.04).ワクチンを接種した全有効性コホートでの結果も同様であった(ワクチン有効性 57.0%,90% CI 19.9~76.9,95% CI 9.7~79.5,P=0.03).M72/AS01E 群では注射後 30 日以内の有害事象の自発報告(67.4%)がプラセボ群(45.4%)よりも多く,その差は主に注射部位反応とインフルエンザ様症状に起因していた.重篤な有害事象,免疫が関与する可能性のある疾患,死亡の発生率は 2 群で同程度であった.
M72/AS01E は,結核菌に感染した成人患者における活動性肺結核症に対して 54.0%の防御能を付与し,明らかな安全性への懸念はなかった.(GlaxoSmithKline Biologicals 社,Aeras 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01755598)