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November 15, 2018 Vol. 379 No. 20

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早期子宮頸癌に対する低侵襲広汎子宮全摘術後の生存期間
Survival after Minimally Invasive Radical Hysterectomy for Early-Stage Cervical Cancer

A. Melamed and Others

背景

低侵襲手術は,早期子宮頸癌患者の広汎子宮全摘における開腹手術に代わる方法として,生存への効果に関する質の高いエビデンスが得られないうちに採用された.われわれは,子宮頸癌で広汎子宮全摘術を受ける女性において,全死因死亡率に対する低侵襲手術の効果を明らかにすることを試みた.

方 法

米国のがん委員会(CoC)認定病院で,2010~13 年に IA2 期または IB1 期の子宮頸癌のため広汎子宮全摘術を受けた女性を対象とするコホート研究を行った.研究には,治療法の選択に関する傾向スコアの確率の逆数による重み付けを用いた.また,サーベイランス・疫学・最終転帰(SEER)プログラムのデータベースを用いて,2000~10 年に子宮頸癌のため広汎子宮全摘術を受けた女性を対象とする分割時系列分析も行った.

結 果

主要解析では,2,461 例中 1,225 例(49.8%)が低侵襲手術を受けた.低侵襲手術で治療された女性では,開腹手術を受けた女性と比較して,白人,民間保険加入,社会経済状態のよい郵便番号地域での居住の割合が高く,小さく悪性度の低い腫瘍であり,診断時期が研究期間の後半である傾向にあった.追跡期間中央値 45 ヵ月での 4 年死亡率は,低侵襲手術を受けた女性で 9.1%,開腹手術を受けた女性で 5.3%であった(ハザード比 1.65,95%信頼区間 [CI] 1.22~2.22,log-rank 検定で P=0.002).低侵襲広汎子宮全摘術が採用される前(すなわち 2000~06 年)は,子宮頸癌のため広汎子宮全摘術を受けた女性の 4 年相対生存率は安定していた(年間の変化率 0.3%,95% CI -0.1~0.6).低侵襲手術の採用は,2006 年以降の 4 年相対生存率の 1 年で 0.8%(95% CI 0.3~1.4)の低下と時期が一致していた(傾向の変化の P=0.01).

結 論

疫学研究では,IA2 期または IB1 期の子宮頸癌女性において,低侵襲広汎子宮全摘術は開腹手術よりも全生存期間が短いことに関連していた.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 1905 - 14. )