November 15, 2018 Vol. 379 No. 20
奇異性結核関連免疫再構築症候群の予防のためのプレドニゾン
Prednisone for the Prevention of Paradoxical Tuberculosis-Associated IRIS
G. Meintjes and Others
結核を合併したヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者における抗レトロウイルス療法(ART)の早期開始は,CD4 低値の患者の死亡率を低下させるが,奇異性結核関連免疫再構築症候群(IRIS)のリスクを上昇させる.
奇異性結核関連 IRIS のリスクが高い患者に対するプレドニゾン(prednisone)の予防投与によって,その発症率を安全に低下させることができるかどうかを評価する目的で,無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.HIV に感染し,ART を開始予定で(ART 治療歴なし),ART 開始前の 30 日以内に結核治療を開始しており,CD4 数が 100/μL 以下である患者を登録した.患者はプレドニゾン(40 mg/日を 14 日間,その後 20 mg/日を 14 日間)またはプラセボの投与を受けた.主要評価項目は,ART 開始後 12 週以内の結核関連 IRIS の発症とし,独立委員会が判定した.
登録された 240 例は,年齢の中央値 36 歳(四分位範囲 30~42),60%が男性,73%が微生物学的に確認された結核を有していた.CD4 数の中央値は 49/μL(四分位範囲 24~86),HIV-1 型 RNA ウイルス量の中央値は 5.5 log10 コピー/mL(四分位範囲 5.2~5.9)であった.各群に 120 例が割り付けられ,18 例が追跡不能となったか,同意を撤回した.結核関連 IRIS は,プレドニゾン群の 39 例(32.5%),プラセボ群の 56 例(46.7%)で診断された(相対リスク 0.70,95%信頼区間 [CI] 0.51~0.96,P=0.03).結核関連 IRIS を治療するために,非盲検のグルココルチコイドがプレドニゾン群の 16 例(13.3%),プラセボ群の 34 例(28.3%)に処方された(相対リスク 0.47,95% CI 0.27~0.81).死亡したのはプレドニゾン群の 5 例,プラセボ群の 4 例であった(P=1.00).重症感染症(後天性免疫不全症候群 [AIDS] 指標疾患または侵襲性細菌感染症)は,プレドニゾン群の 11 例,プラセボ群の 18 例で発症した(P=0.23).プラセボ群でカポジ肉腫が 1 件発生した.
HIV 感染症に対する ART を開始してから 4 週間行うプレドニゾン投与によって,プラセボと比較して結核関連 IRIS の発症率が低くなり,重症感染症や癌のリスクが高くなるというエビデンスは認めなかった.(欧州・発展途上国臨床試験パートナーシップほかから研究助成を受けた.PredART 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01924286)